2019年12月31日。実家でのんびりとテレビ「孤独のグルメ 2019大晦日スペシャル 緊急指令! 成田~福岡~釜山 弾丸出張編!」を見ていました。
福岡からビートル(ジェットフォイル)でぴゅーんと釜山に行った井之頭五郎さん(松重豊さん)が、実においしそうに、「タコ・イカ・ホルモン鍋」をほおばっていた。
懐かしいなぁ。
これ、本当においしいんだよな。
地元じゃ絶対に食べられない味なんだ。辛旨で。釜山に行ったら必ず1回は食べている。
隣で母が「おいしそう。食べたい」。
「おいしそう。食べたい」×10 はいはい、わかりました。
ここ数年、どんどん国際情勢が悪くなって、気軽に行ける雰囲気ではなくなってしまいましたが、ちょこーっとだけ落ち着いた今なら、韓国に行けそう。
「行く?」と聞くと、「行く」。
もうずいぶんと、私付き(海外案内要員)の旅をプレゼントしていなかったから、久しぶりに行きますか。
それから即検索し、2020年1月3日までに予約。1月4日に予約確定して、その2週間後にはもう、釜山行きのフェリーに乗っていました。
我ながら、今回は勢いが良かった。
そんな釜山旅のはじまり。
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期間:2020年1月18~20日 2泊3日
旅行会社:旅工房
金額:7800円(女子旅プラン)、父(男)だけ約12000円 ※帰りは部屋をグレードアップしているので3人で手数料やなんやかんや含めてトータル4万円ちょっと。
交通手段:フェリー ニューかめりあ
この旅費よ。
地元・福岡からフェリーで行くと、釜山2泊3日はだいたい8000~9000円です。
定宿のホテルは三つ星。釜山の繁華街、南浦洞にあり、2013年にリニューアルしたばかりで広く、清潔感ばっちりで超快適。
ビートルを使っても、2万円以内におさまります。時期を選べば、週末でもこんな価格。
もはや国内旅行よりも安いので、釜山はこれまで3回行っていて、この旅で5年ぶり4回目となりました。甲子園のようだな。
この頃はコロナもニュースになりはじめたくらいの時期だったので、あんまり気にせずに渡航しました。
帰った1週間後が春節で、まさかあんなことになるとは……。
さて、あっという間に出発当日。
フェリーなので、出港1時間前までにターミナルに行けばOKなんだけど、気が早い両親は、出港は12時の正午だというのに2時間半前に私の家に迎えに来ました。
まじか。
早くないか。
あと15分後にはターミナルに着いちゃいますけど。
仕事があったので、旅行用のショルダーバッグ(イギリスで買ったこれ)とパソコンバッグを持って家を出ます。
釜山は国内旅行感覚なので、スーツケースを持っていったことがほとんどありません。いつも船旅でバッグは預けないしね。
案の定、10時前にターミナルに着いたため、ベンチに座って仕事を片付けます。両親はターミナル探索に消えました。
その消えている間に、どうやらチェックインを済ませてくれた模様。前の海外旅行ではどこに行っても右往左往していたのに進化しているなぁ……。
加えて、船の中で食べる食料も調達してくれました
出港1時間前にパソコンバッグを実家の車のトランクに入れ、予約していたポケットWi-Fiを受け取り、出国手続きに向かいます。
正直なところ、福岡港国際ターミナルはショボイです。釜山のターミナルと比べても、免税エリアが超狭いし、レストランやカフェや売店も少ない。ちっちゃい。
時間をつぶせないのよねぇ。とか言いながら、免税店を見始めて2分で日本のブランドのコスメを買う。ほしいものが安かったから。
そして、待合エリアの売店でビールを購入しました。こちらも免税価格でちょっと安い。酒盛りの準備は整った。
乗船して、指定された大部屋に向かうと……
定員12人くらいの、こぢんまりとした部屋でした。靴箱に入りきらなかったブーツは私のです。
しかもこの部屋、日本人高齢者部屋としか思えない客層でした。うちの両親(70代前半)が全然浮かない。
全員が60~80代。私だけアラフォー。
もはやアラフォーでも、この部屋のアイドルです。滅多にない
乗船して他の大部屋をこっそり横目で見て回ると、日本人の若者の部屋、日本人の子連れ家族の部屋、韓国人の若者の部屋、韓国人のおばちゃん部屋などがあり、船会社で「気持ち良く過ごせそうな割り振り」をしているようでした。
部屋のメンバーに一気にリラックスして、鍵もかけずに荷物を置いて船内探索に出かけると、テーブルと椅子のあるフリースペースは埋め尽くされている。
ほぼ満員の船なので、フリースペースに余裕がない。
景色を見ながら、ごはんを食べようと思っていたのになぁ。
そして、韓国人のおばちゃん部屋からは早くも強烈なニンニクとキムチの匂いが……。見ると、車座になってかしましく食事中でした。
仕方ないので、自分たちの大部屋で、買っておいた食料とビールを広げることにします。周囲のおじいちゃん、おばあちゃんも弁当を広げているので気兼ねなく。
すると、向かいのおじいちゃんから、お菓子をもらいました。アイドル効果(たぶん)。
これをきっかけに、向かいのおじいちゃん、おばあちゃんグループと会話が始まります。
「韓国人はねぇ、日本人から見たら品がないよ。うるさいし」とおじいちゃん。いきなりの批判
日頃、テレビのニュースや新聞から情報を得ていて、ここ最近の報道で韓国がますます嫌いになった父は静かに聞いています。
「でもねぇ、韓国は面白いんだ。本当に面白いんだよ。飽きない」とおじいちゃん。
聞くと、もう60回以上、韓国(ほとんど釜山)を訪れているそうです。
私たちから「マスター」と呼ばれるようになったおじいちゃんは、おすすめのお店や食材のブランドをスクラップしたノートも見せてくれました。
さらに、「釜山はここに行ったがいい」と観光スポットやお店について丁寧に教えてくれました。ありがたや
韓国に良い印象がない父も楽しそうに話を聞いていたので、おじいちゃんに感謝です。
そんな父がなぜこの旅についてきたかというと、「2人が行くなら、行ってもいいかな」くらいの動機です。
たぶん母が「韓国にもう二度と行かなくても、一度は現地を見てみれば?」とそそのかしたんだと推測しています。
話が盛り上がっていると、玄海湾を出たフェリーが激しく揺れるようになりました。
初の真冬の船旅。
真冬はこんなに揺れるなんて。想像を超えていました。まっすぐに歩けず、手すりがないと転びそうです。
釜山マスターのおじいちゃんも「こんなに揺れるのは初めてだ」とおっしゃいます。そんな日に当たるなんて……。
全員酔い止めを飲んでいたものの、トイレに立ってぐらぐらする船内を歩いた母はいち早くダウン。布団を敷き、ビニール袋を備えて横たわりました。
漁船で釣りをするような父はまだ平気らしく、横になって読書に集中。寝ていればいいけど、座って入国用の書類を書いたら、さすがに気分が悪くなったそうです。
私はわりかし元気だったので、14時半頃に風呂に入りに行きました。
以前、フェリーで釜山旅をしたときは、ニューかめりあ自慢の展望風呂に入れなかったから楽しみにしていたのです。
女湯に行くと、だーれもいませんでした。私が風呂場を使っている間は誰も来なかった。貸し切り。
こんなに快適なのに、もったいない!
誰もいないので、そーっと写真を撮らせてもらいました。
あまりの揺れに、湯船の湯がざっぱざっぱとあふれます。窓が大きくて開放感いっぱい。
お湯の温度はたぶん42℃くらい。ちょっと熱め。湯船につかっていると、(あたりまえだけど)さほど揺れを感じません。
ほどよく汗をかいてさっぱりしました。フェリーでの昼風呂もいいもんです。
なんで誰も入らないんだろ。
帰りにカラオケコーナーやゲームコーナーを見ても誰もいませんでした。この揺れのせいかな。
部屋に戻ると、母は眉間にしわを寄せて寝込み、父は読書継続中。私はスマホゲームで時間をつぶしていました。
時刻は17時。
あと1時間で釜山に到着します。
フェリー旅には独特のルールがあって、乗船するときも下船する時も、時刻が近くなるとみんなフェリーの出入り口にスーツケースを並べます。
乗船・下船の場所取りです。
ニューかめりあではおなじみの光景ですが、他のフェリーはどうなんだろう。
私たちもリュックとショルダーバッグを場所取りの列に置きました。20組以内に置けたからスムーズに下船できるはず。
この時に気づきましたが、両親は2人でリュック(20ℓくらいのサイズ)一つで2泊3日の海外旅行に来ていました。
バックパッカーじゃないか。
2人でリュック一つて。
バッグだけ見ると、私より旅慣れた感。
場所取りも済んだので、のんびりと夕暮れを眺める。
空が真っ赤に染まる素晴らしい夕暮れでした。テンションが上がり、写真を撮りまくる。
一方母は、下船ぎりぎりまで部屋で寝込んでいました。大丈夫かなぁ。船に弱いもんなぁ。
釜山到着直前に、ようやく復活。ロビーは旅行者であふれかえっています。
到着は18時。フェリーで6時間もすれば韓国。しかも下船して、15分後には外に出ていました。これが船旅の良さ。
ただ、ここからが大変だった。
ターミナルの外には釜山港と行き来のある都市が表示されています。
釜山港国際ターミナルのタクシー乗り場に、タクシーが全く来ない。
タクシー待ちの列ができているのに、1台も来ない。15分待っても来る気配がない。
待っている人も方々に歩き始めました。
私たちも「もう、近くの釜山駅まで行こう。鉄道駅だから、そこなら絶対にタクシーがいるから」と歩きだす。
親は高齢なので、そんなにたくさんは歩けません。歩数でいえば、1日2000~3000歩で過ごしている世代です。
しかも初の船での海外旅でストレスもかかっている。もう夜だから、最寄りの釜山駅までが限度。
幹線道路沿いに20分ほどてくてく歩いて、釜山駅に着いたらタクシーがたくさんいました。「ホテルまで近いけれど大丈夫?」と聞いて乗り込みます。
向かうはタワーヒルホテル。
ここが釜山の定宿です。
タクシーに乗って安心したのか、料金は10000w(1000円)だったのに、1000w(100円)を出してしまいました。
私が気づくまで粘り強く待ってくれた運転手さんよ、ありがとう
ホテルに着いたのは19時。おなかも減っていたので、荷物を置いたらすぐに夜ご飯を食べに出かけました。その話はまた明日。
帰りはゆっくり眠れるように個室を予約しましたよ(予告)。