堺アルフォンス・ミュシャ館
ミュシャの絵に馴染みはあるものの、展覧会で観たことがないと思う。堺市にミュシャとは不思議な気もするが、カメラのドイの創業者、土居君雄氏のコレクションが堺市に寄贈されたのだそう。
巨大な「桜草」と「羽根」に出迎えられる。
モローらと同じ世紀末芸術の系統かと思っていたが、加えてアール・ヌーヴォーを代表する画家でもあるらしい。確かにヌーヴォー様式の家具と相性が良さそうだ。
展示は4階と3階の2フロア。順路に従って4階から見学する。
「ウミロフ・ミラー」1903-04
これがミュシャの作品?圧倒的な重厚感。どうやら装飾画家から歴史画家への転換期の作品とのこと。暖炉のマントルピースを飾るために描かれた油彩画らしい。
次のエリアでは沢山の挿絵が展示されていた。そもそも挿絵画家が最初のキャリアだそう。
部屋の中央には巨大なサンプル本が。
リトグラフ印刷機
オフセット印刷の原型。石版も置かれている。
エレベーターで3階に。
誰もいないのでゆったりと鑑賞できる。以下、気になった作品を。
「桜草」「羽根」1899
「桜草」
やはりミュシャはこのイメージが強い。なぜ歴史画家に転向されたのだろう。
「黄道十二宮」1896
この作品も好きだ。髪の描写がミュシャ的。
展示作品には全てレプリカとの表記がある。オリジナルは展示しない方針なのだろう。どれだけ差があるのか見比べてみたいところだ。
「四季」1896
あと基本的には連作が多い。
「秋」「夏」
抽象的な事柄や物を女性に擬人化して描く。シンプルながら個性的なミュシャの作風であり、アイデンティティ。
「四つの花」1897
女性と円環モチーフの「Q型方式」を生み出したシリーズ。現在でもグラフィック・アーティスト達が採用する構図なのだそう。次の「音楽」「絵画」も同様。
「音楽」
「絵画」
「一日の四つの時」1899
これまでの作品と比べトーンは抑え気味だが、長く観ているうちに気持ちが和らいでくる。
「夜の安らぎ」
見学終了。ミュシャを堪能。
「椿姫」「ジスモンダ」
1階エレベーター前に、サラ・ベルナール主演の演劇ポスターをアレンジしたパネルがあった。上がる時には気づかなかった。