迎賓館赤坂離宮@四ツ谷 | 温室メロンの備忘録

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四ツ谷駅から南へ徒歩数分で迎賓館。近い。

コロナ禍の頃に、赤坂見附から散歩がてら来たことがある。帰りは赤坂御所から再び青山通りまで戻ったので、徒歩で来るところではないと思っていた。

当時は時節柄公開されていなかったが、今は再開されている。

正門


正門に到着。どうやら見学コース的には出口のようだ。反時計回りに西門まで歩き、そちらで入館手続きを済ませる。飛行機搭乗時と同様のセキュリティ検査を受け、晴れて入門できる。


まずは西門から本館の表に回ってみよう。


中門


中門から見る本館。逆光なので雰囲気だけ。


本館


1週間前の雪がまだ残っている。


元々は皇太子のための東宮御所として建てられた宮殿だが、現在は国の迎賓施設。1969年から5年を掛けて改修を受けた、日本唯一のネオ・バロック様式建造物とのこと。バロック様式が国家建築には相応しいのだそう。パリのオペラ座も同じ様式らしい。



本館正面入口


左右に配置されている兜を被った武士のブロンズ像は、阿吽の甲冑と呼ばれているそうだ。よく見えないとはいえ、センスのかけらも無い。可愛げがあって悪くはないのだが。




こちらからは出入りできないので、せめて動画で雰囲気を残しておく。


建物には西口から入る。入館の前に写真撮影は禁止、スマホやカメラは外に出しておかないで下さいと口酸っぱく言われながら、ようやく入館。


館内に入って、まず驚くのが金箔を張り巡らせた内装。金沢の金箔のほとんどが、こちらのメンテのために使われているのでは?と思えるほどに広範囲が黄金色。


ダイナミックな模様の花崗岩の極太円柱、大理石と玄昌石による市松模様が組まれた床など、税を、もとい贅を尽くした建物だ。


花鳥の間


今月の8〜20日の期間限定で、試験的に写真撮影を許可しているとのこと。とても厳重な撮影規制がある中で、初めての試みらしい。知らずに来たので、相当運が良いなと自画自賛。



残念ながら天井画が全く心に響かない。和洋折衷ではなく、むしろ妥協の産物のように感じる。画力も迎賓用の建物の天井画には不足かと。


正餐用テーブルウェア


海外の要人を招くための施設。とても豪奢であると同時に、西洋を畏怖混じりに崇拝しながらもプライドを保ちたい、明治〜昭和時代の心情が見て取れるのが興味深い。一見の価値ありだと思う。


本館を出て裏手に回ってみる。こちら側を主庭と呼んでいる。いわゆるプライベートな庭だ。


本館(裏)


噴水@主庭


グリフォン


上半身が鷲で下半身がライオン、ギリシャ神話に出てくるらしい。制作は日本橋の麒麟像や、日比谷公園の鶴の噴水を作った津田信夫氏によるものだそう。雰囲気が似てるなと思っていたので、説明を聞いて納得。


その後、和風別館を見学。補足にて記載する。


表に回って中門から正門を目指す。正門のすぐ手前にある門衛所が土産物ショップになっていた。


正門(内側より)


正門(外側より)


無事スタート地点に戻る。


【補足】和風別館 遊心亭


本館が迎賓館として使用されるのに合わせて建てられた、和のおもてなし施設。玄関には五七の桐が。桐紋で最も格上、天皇家の家紋だが、政権を担当する家に下賜されることが多いとの解説。左手のあったヒマラヤ杉が素晴らしかった。


建物内部は撮影不可。主和室から即席料理室、茶室へと案内される。


正直な感想はイマイチ。坪庭には白川砂や貴船石、孟宗竹などが配されているし、茶室の茶器や掛け軸も立派、天井の板材や梁の柱材も素晴らしい。ただそれだけで建築物の価値は決まらない。外国の要人に「和」を感じて頂くには不足、ほとんど使われていないのが実態らしい。


客人と楽しく遊ぶ遊心ではなく、客人の気持ちから心が遊離した「遊心亭」かなと。



しかしながら、素晴らしい点もあった。太陽の光が池に差し込むと、主和室前の廊下の天井に池面の揺らぎが映し出される。日本の侘びと寂びを同時に体感することができる。


以下余談。


ヒマラヤ杉はマツ科で、生物学的にはマツに近いらしい。写真はヒマラヤ杉の巨大松ぼっくり。ちなみに左下が普段見るサイズ。