赤不浄——
赤い穢れとして恐れられた怪異。

けれど、その赤は本当に穢れだったのでしょうか。

血の色。
命の色。
女の身体が、命を迎えるために繰り返してきた色。

それは本来、隠されるべきものでも、恥じるべきものでもありませんでした。
けれど人は、理解できないものに名前をつけます。

不浄。
穢れ。
忌むべきもの。

そうして、ただそこにあるだけだった赤は、恐れられる存在へと変えられていきました。

赤不浄は、怪異そのものではなく、
女の身体に向けられてきた恐れや嫌悪が、生み出した影なのかもしれません。

誰かに穢れていると言われ続ければ、
やがて自分自身まで、そう信じてしまう。

けれど夜は、その赤を拒みません。

洗い流そうとも、隠そうともせず、
ただ静かに、そのままの色を受け止める。

赤は罪ではない。
命を宿し、流れ、傷つき、それでも生きてきた証。

恐れられた怪異の奥には、
声にできなかった女たちの痛みが、今も残っています。

赤不浄。
それは穢れではなく、
長いあいだ穢れと呼ばれてきた、ひとつの命の色。