ヤフーニュース(愛媛新聞)からです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151222-10067101-ehime-l38

ホワイトタイガー、雄にかまれ死ぬ とべ動物園

愛媛新聞ONLINE 12月22日(火)17時32分配信




【写真】雄にかまれて死んだ雌のホワイトタイガー「オメガ」(県立とべ動物園提供)


愛媛県立とべ動物園(砥部町上原町)は21日までに、飼育していた希少種のホワイトタイガー「オメガ」(雌、14歳)が10月26日の繁殖に向けた引き合わせ時に、雄(6歳)にかまれて死んだとホームページで公表した。同園は「事前準備を整えて臨んだが、このような結果になりじくじたる思い。検証と反省の上で事故を教訓とし、希少種繁殖に努力したい」としている。


 オメガは07年に繁殖のため群馬サファリパークから借り受け、とべのホワイトタイガーの雄との繁殖が不調のため、ベンガル系の通常種との見合いを試みていた。


 園によると、格子状の扉で間を仕切って行う見合い中にオメガが強い発情の兆候を示したため、扉を初めて開けると、雄がいきなりオメガの首にかみついた。園は、準備していた放水と鉄棒で引き離したが、約1時間後に出血多量で死んだ。
 


~転載以上~



北海道の「円山動物園」で雌のマレーグマ「ウッチー」がオスに襲われ死んだ事故が頭をよぎります。。


産経ニュース の記事によると、これまで別のトラとも繁殖を試みたものの、雄を怖がるなどしてうまくいかなかったということです。


やり方に問題がなかったのか、きちんと検証していただきたいと思います。



しかし、日本に限らず、そもそもホワイトタイガーという存在について誤った認識がされていること、また繁殖自体に問題があるということを、最近になって知りました。



以下は、PEACEさんから転載です。

http://animals-peace.net/zoos_and_aquariums/white-tiger-breeding


NHKの番組に意見書 「ホワイトタイガー」が絶滅危惧種?


NHKの番組「おはよう日本」のサイトに、2015年5月10日に放映された番組の記録が掲載されており、下記のような誤った記述がみられたため、意見書を送りました。(9月30日付け)


「絶滅が危惧されているホワイトタイガー。」
「そもそもこのホワイトタイガーは、インド原産の『ベンガルトラ』のうち、毛の色が白い種類のことをいうんですが、野生のものはすでにいないとみられています。


現在、世界中の動物園で飼育されているのが250頭しかいないので、種の保存に向けた懸命な取り組みが続けられています。


※10月2日現在、太字部分はサイトから削除されています。ブログもご参照ください。


2015年9月30日

NHK御中

NHKの放送番組に対する意見

「おはよう日本」2015年5月10日(日)放送「ホワイトタイガー 出産・育児奮闘記」の内容が下記にアップされているのを拝見しました。この中で述べられているホワイトタイガーに対する表現は非常に誤解を与えるものとなっており、記事自体を削除していただきたく要望いたします。
http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/05/0510.html


ホワイトタイガーはベンガルトラの白変個体であり、「ホワイトタイガー」という独立した種や亜種があるわけではありません。現在、世界中の動物園やサーカス等にホワイトタイガーがいるのは、白い色の出る遺伝子をもつ個体同士を近親交配でかけあわせ、意図的に白い色の個体が生まれるよう固定しているからです。イエネコにシャムなどの品種があるのと同じように、いわばベンガルトラの「品種」の作出のようなことを動物園等が行っており、人間が好む毛色だけを残そうとするのは「種の保存」とは相反する行為です。それを「おはよう日本」では「種の保存」と報道しています。


トラ全体が希少種であり、更に白い個体は珍しいとは言えますが、ホワイトタイガーを保全しなければいけない絶滅危惧種であるかのように言うのは、誤った知識の普及につながってしまいます。例えば、タヌキなど他の動物にも白変個体が生まれますが、それらの個体が死んだからと言って、ホワイトタヌキが絶滅したとは言いません。白い毛の出る遺伝子を保全したければ、その生物種自体を広範に保全し、遺伝子のプール自体を保つようにすべきでしょう。


また、白い色は劣性遺伝であり、近親交配で作出するために障害も出やすくなっています。そのため動物福祉上の問題も指摘されており、2011年、アメリカ動物園水族館協会は加盟園に対し、ホワイトタイガー、ホワイトライン、キングチーターなどの「異常な」特徴を意図的に得るための繁殖を禁じる決定をしました。東武動物公園でも生まれたトラに障害が出ていますが、予想できたことなのではないかと思います。


参考:PDFhttps://www.aza.org/uploadedFiles/About_Us/AZA White Paper Inbreeding for Rare Alleles 18 Jan 2012.pdf


残念ながら日本の動物園水族館協会にはアメリカのようなルールはないようですが、そもそも、インド以外の動物園にいるベンガル系のトラ自体、由来が不確かなために、アムールトラやスマトラトラのような国際的な血統登録の仕組みには乗っていません。つまり日本でも、動物園の言うところの「種の保存」の対象になっているのは、アムールトラやスマトラトラであり、ベンガル系のトラ(ホワイトタイガーを含む)は、本来、繁殖は推奨ではないはずです。


実際には、各園が生まれた個体の飼育に責任を持てる範囲で繁殖することは許されているそうですが、ではなぜそのような繁殖が行われるかと言えば、「動物園にトラがいることが大事、珍しい色であればなおよい」という営業上の理由があるからであって、「種の保存」が目的ではありません。東武動物公園にも確認しましたが、「ホワイトタイガーは絶滅危惧種としてふやさなければいけない対象ではないとの自覚はある」とのことでした。今後繁殖は行わないそうです。


ホワイトタイガーが「絶滅」して困るのは、お客さんに来てほしい動物園やサーカスであり、繁殖は営利目的です。NHKは公共放送であり、営利目的の事業に公共性があるかのようにミスリードすることは許されないと思います。

当該記事の削除について、何卒よろしくお願い申し上げます。

以上


<追記>
10月1日付でNHKよりFAXにて回答が来ていました。制作担当者は、ホワイトタイガーがベンガルトラの白変した個体だとわかっていたが、誤解を招く表現をしていたため、ホームページの情報を更新するとの内容でした。



~転載以上~



以下、The Dodoの記事より要約、翻訳しました。


This Is Why No One Should Ever Breed White Tigers

https://www.thedodo.com/truth-about-white-tiger-breeding-1492535969.html



「ケニー」を一見すれば、なぜホワイトタイガーは繁殖されるべきではないかがわかる。








彼は15年前、アメリカ・アーカンソー州のブリーダーが奇形による容姿の悪さで売れないと判断し、殺処分しようとしたところを保護された。


短い鼻、幅広の顔、歯にも問題を抱えたケニーを見て、すぐにトラだとわかる人はそう多くないだろう。彼と共に保護され、兄弟トラと見られている「ウィリー」は、完全な内斜視だ。





保護団体「ビッグキャット・レスキュー」のスーザン・バス氏は、ブリーダーや動物園、ショーの関係者が、ホワイトタイガーを「保護が必要な絶滅危惧種」と表現するが、それは真実ではないと話す。


※ホワイトタイガーの種について詳しくは、上記PEACEさんの記事で説明されているので、省略します。


白い毛並みは劣性遺伝で生み出されるため、近親交配を繰り返すのだという。


その結果がケニーのような個体であり(ケニーの親も兄妹だったと見られる)、ケニーに限らずホワイトタイガー全体が近親交配によるダメージを受けている。


バス氏によると、すべてのホワイトタイガーが内斜視であり、その他にも健康に問題を抱える個体は多く、他のトラと比べ短命なのだという。




「ビッグキャット・レスキュー」で保護されている「ザブー」。上唇が先天的に短く、歯が露出している。



バス氏は、「一頭のパーフェクトなホワイトタイガーの子が生まれる可能性は、30頭に1頭の割合でしかありません。あとの29頭は…殺処分されているか、遺棄されているか…わかりません」と言う。


「彼らは、種ではありません。絶滅が危惧されているわけでもありません。保護される必要もありません。彼らは、存在してはいけないのです」。


施設のスタッフ皆に愛され、またスタッフ皆を愛したケニー。

彼は残念ながら、他の仲間と同じように短命だった。飼育下のトラが20年以上生きることも難しくはない中で、彼は1年に渡る黒色腫(近親交配との因果関係は不明)との闘いの末に10才でこの世を去った。



~要約以上~



人間の目を楽しませるために、動物園やショーの目玉にするために、人間の手で、障害や健康問題を抱えやすい種を作り出し、交配に「失敗」した個体は殺処分ということも…。


これは、倫理的に大きな問題なのではないでしょうか。