みなさんこんばんは。
少し間が空いてしまったのだが、
今回も読書の記録である。
 
詳しい説明は初回の記録をどうぞご覧ください。
 
 
 
 
 
 
それでは、
改めてホームズを嗜む。
これよりは物語の内容を含むので、まっさらな気持ちでシャーロック・ホームズシリーズを読みたいという方は、まずは正典(コナン・ドイル、ConanのアナグラムでCanon)を読んでから以下を読み進めてほしい。
ミステリーにネタバレなど全く思慮に及ばない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宜しいのですね?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
では参りましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回改めて読んでいくのは「シャーロック・ホームズの冒険」から『ボスコム渓谷の謎/The Boscombe Valley Mystery』である。
 
 
 
 
簡単なあらすじ
ある朝のワトソン夫妻の食卓から物語は始まる。
ホームズからの電報、事件調査へのお誘いだ。
連日新聞を賑わせているボスコム渓谷の事件を調査することになり、現地へ赴くので同行してもらえると有り難いという内容。
妻の賛同を得ることに成功し、急いで支度を済ませてホームズの待つパディントン駅へ向かう。
目的地へ着くまでの間、ホームズは今回の事件について記載のある新聞を片っ端から読み漁る。ひと段落すると、ワトソンとの談議が始まる。
 
オーストラリア帰りの二人の紳士。
一財産築いて故郷へ戻りこの地方一の大地主となったジョン・ターナーと、友人のチャールズ・マッカーシー。旧知の仲であるマッカーシーにターナーは、土地を無償で貸していた。また二人にはそれぞれ子どもがおり、マッカーシーには十八になる息子ジェームズ、ターナーには同じ年の娘アリスがいた。

六月三日、ボスコム渓谷で見つかったマッカーシーの亡骸。犯人は息子のジェームズであるという情況証拠が揃い、警察も検死官も彼が犯人であると睨んでいるのだが…。
手掛かりは「クーイ」という謎の掛け声と、マッカーシーが最期に残した「ラット(ネズミ)」という言葉だけ。
嫌疑を掛けられるジェームズの無実を信じるアリスが、レストレイド警部を経由してホームズへ依頼をしてきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
珍しく現地へ赴くホームズ。
勿論同行したいはずのワトソンだが、まずは妻の許可を得るところが素晴らしい。
ワトソン夫人がお話している新鮮さや、『四つの署名』の振り返り、ワトソンの身支度の早さ。30分もあれば支度できるというのだから私も見習いたくなる。
 
 
この時代の電報の打ち方はなかなか為になる。
メール等のようにすぐに返信が出来ないため、受け取った側の返事を待てない場合は、
同行してくれるならこの時間のこの電車に乗るから来てと簡潔に分かりやすく用件を伝え、受け取った側の行動が返事代わりになっていて無駄がないところが美しい。実にホームズらしくもある。
 
 
 
 
 
レストレイド警部の登場に関しても記しておきたい。
原作でのレストレイドの描き方は、ホームズの辛辣な言葉にあるようになかなか酷いものではあるが、知った名前が出てくると読者としてはやはり嬉しくなる。
今回の事件は、レストレイドを経由してホームズに依頼が届いたという形で、レストレイド自身は多少なりとも不服だったかもしれない。
そして…
今作のレストレイド、ウインクします。
柄にもなくウインクだなんて驚きの場面なのに全く覚えていなかったのが驚きだ。驚かない者がいるのだろうか、いや単に文化の違いなのかもしれないが。
 
 
 
 
燃えるような顔つきで突き刺すような目の色をして、嗅ぎ回る(という表現が一番近い)ホームズ。
今作は直接現場に訪れているため、調査の描写が多いのが嬉しい。
現代の鑑識のような機械や薬品もなく、己の観察眼と並外れた集中力で実にアナログに調べ尽くす様は見事である。
足跡から犯人を特定し、まるでその場で見ていたかのように犯人の詳細な行動を再現し、お得意の煙草の灰に関しての知識も披露してくれる。
 
私にはゴミとしか見えないようなものを集めて大切そうに封筒に入れたり…と皮肉を忘れないワトソンが好きだ。
 

 
ホームズが警察の人間ではないことが鍵になる事件は稀にあるのだが、今作もそうかもしれない。
彼にも情が深いところがある。
哲学の知識は皆無だが(緋色の研究のワトソンより)
彼には彼の確固たる哲学がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
読み終えたあと、言いもよらぬやり切れなさが残る。
ハッピーエンドではあるのだが…
人生とは複雑である。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今作のまとめ
・現場へ赴くホームズ
・おかえり、レストレイド警部
・アリスの健気さは唯一の癒し
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
やっぱり、ミステリーが好きだ。