みなさんこんばんは。
今回も読書の記録である。
 
詳しい説明は初回の記録をどうぞご覧ください。
それでは、
改めてホームズを嗜む。
これよりは物語の内容を含むので、まっさらな気持ちでシャーロック・ホームズシリーズを読みたいという方は、まずは正典(コナン・ドイル、ConanのアナグラムでCanon)を読んでから以下を読み進めてほしい。
ミステリーにネタバレなど全くもって趣がない。





















それではいいですか?





















本当に?


















では参りましょう。



今回改めて読んでいくのは「シャーロック・ホームズの冒険」から『ボヘミア国王の醜聞/A Scandal in Bohemia』である。
 


簡単なあらすじ
1888年3月20日の夜、往診を終えてたまたまベイカー街を通りかかったワトソン。221Bの玄関にさしかかったとき、急にホームズに会いたくなった。ふと二階を見上げると窓にホームズの影法師が見える。そのせわしない様子から彼がまた事件の解決に取り組んでいるらしいと分かって嬉しくなり、元下宿のベルを鳴らす。
久しぶりに顔を合わすのだが、ワトソンの体型や服装や靴から、いまの仕事や家庭事情などを次々ホームズが言い当てるので、思わず称賛を込めた皮肉をもって白旗を振る。
君の場合は、見るだけで観察しないんだ、と種明かしをするホームズ。
ワトソンの近状やホームズの観察眼についてある程度喋り終えると、先程郵便で届いたばかりだという桃色の厚手の便箋に話題が移った
ボヘミア国の国王が、ある女性からある写真を取り返して欲しいというのが今作の依頼である。












今作の主役は、シャーロック・ホームズでも依頼人のフォン・クラム伯爵でもジョン・ワトソンでもなく、間違いなくアイリーン・アドラーだ。


アイリーン・アドラーという名前やイメージは、かなり世の中で一人歩きしているという印象を持っていた。良く言えば、それほど人々の想像を掻き立て魅力的であるキャラクターだということだ。
一つの短編にしか出てこない(回想としてほかの短編でも名前が出てくることはあるが)キャラクターであるにも関わらず、世界的に広く知られていて愛されているというのはコモンセンス。今更真正面から向き合う必要はないのではと、あえてこの作品に触れなかったのだが、ちゃんと読めば読むほど作品自体も傑作で、コナン・ドイルが生み出したアイリーンの本当の人となりが少し分かった気がした。





アイリーン・アドラーは、
1858年ニュージャージー州に生まれたオペラ歌手。コントラルト(アルト)。オペラ歌手として華々しい経歴を持っているが、いまは歌劇団を引退しロンドンでひっそりと暮している。

自分では女優のはしくれとも言っているのだが、舞台で歌うだけでなく作品によってはオペラの役を演じながら歌うため、その言葉は誤りではないし、一連の彼女の台詞からは自身の能力への誇りや余裕を感じた。


美しく賢くそして品があり、肝が据わっていて強気で頑固でお茶目でおまけにチャーミングな女性。
純粋に愛を求めていただけのようにも思える。

アイリーンと歳が近くなって、私ならこんな風に振る舞えるのかしらと想像を巡らせてみるのも楽しい。
読み手によって抱く印象も異なると思うのだが、皆さんの想像するアイリーン・アドラーとは、どのような人物だろうか。









ホームズの変装ぶりも今作では大いに楽しめる。
収穫がかなりあったためか潜入から珍しく上機嫌で帰ってくる場面はとても愉快である。
久しぶりに再会したワトソンとも、以前と変わらず息の合った捜査を見せてくれるのもファンとしては嬉しい描写だ。







今作は、締めくくりが特に素晴らしい。
後半は流れるように展開し、怒涛の勢いに息つく暇もなく一気に文末まで辿り着いてしまう。その締めくくりは読み終える者に清々しさを残してくれる。

本当に凄い。
改めて読むことが出来て本当に良かった。















今作のまとめ

・何故アイリーンアドラーがホームズが尊敬する唯一の女性になったのかが明白になる

・息の合ったホームズとワトソンの捜査は健在

・『こんばんは、シャーロックホームズさん』











やっぱり、ミステリーが好きだ。