みなさんこんばんは。
今回もまた読書の記録である。
 
詳しい説明は初回の記録をどうぞご覧ください。   
それでは、
改めてホームズを嗜む。
これよりは物語の内容を含むので、まっさらな気持ちでシャーロック・ホームズシリーズを読みたいという方は、まずは正典(コナン・ドイル、ConanのアナグラムでCanon)を読んでから以下を読み進めてほしい。
ミステリーにネタバレなど、考えるまでもない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
…あら?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宜しいのですか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
では、参りましょうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回改めて読んでいくのは例によって「シャーロック・ホームズの冒険」から『消えた花婿/A Case of Identity』である。
 
 
簡単なあらすじは、
依頼人はミス・メアリ・サザランドという大柄な女性。伯父の遺してくれた財産はあるが、自分の境遇に甘んずることなくタイプライターの仕事に就いている。
人柄がよく親切で愛情深い彼女だが、義父の言いつけから結婚することは疎か異性と出会うことすら許されなかった。
だがそんな義父を押し切り、彼女は母と以前の職長であったハーディと一緒にある舞踏会へ出かける(父が生きていた頃から懇意にしてくれていたガス工事関係の舞踏会で、父をよく知っている方達が出席するため彼女はどうしても行きたかったのだ)。
そこで運命の相手、ホズマ・エンゼルと出会うのである。共に惹かれ合い、出会って直ぐに婚約。
そして結婚式の朝、別々の馬車で教会へ出発したのだが、彼が乗ったはずの馬車には誰も乗っていなかった。何処へ消えてしまったのか、それ以来消息もない。
忽然と姿を消した婚約者の行方を探してほしいという。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回も胸を躍らせたのは、ホームズの観察眼が惜しみなく用いられているところである。
例えば、窓から歩道を見下ろして、歩いている人を見るだけであれは依頼人だと断言する様や、
ベルを押すまでの時間やためらいや潔さなどの動作で、どんな問題をかかえた依頼人なのかをかなり細かく言ってのけ的中してみせるのは毎回たまげる。
 
また依頼人と面し、わずかな時間の中で
観察によって相手がどんな職業でどんな習慣を持つのか即座にわかってしまう場面もご多分に洩れず好きだ。
 
 
心を宙に遊ばせるような態度で依頼人を観察とはどんな態度なのだろうか。全く見当もつかない。
 
「きみは見抜けなかったんじゃなくて注意が足りなかったんだよ」
と言いながらワトソンに何を観察したか聞き、ワトソンが懸命に思い出しながら散々説明した後、褒めるような素振りで
「重要なことをすべて見落としているのは事実だが…」と言ってのける場面も好きだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
また、
今作の導入部分はかなりお気に入りの部類に入るものである。
「人生というものは、人間の想像力なんか及びもつかないほど不思議なものだね」というホームズの言葉から始まるのだか、
「窓から抜け出し、この大都会の上を飛び回ってあちこちの家の屋根をそっとはがして、下で演じられる人生劇をのぞいて見る」は易々と想像することが出来て、絵本でありそうな世界観なのもとてつもなく好きだ。
 

「それに比べて小説なんかは、月並みでくだらない戯言にすぎない」には小説の中で生きるあなたが言う台詞かねと指摘したくなるのだが、非常に愉しい場面である。
 
 
 
 
 
 
 
今作のホームズはいつになく感情的であった点も記さなければならない。
 
「あの悪党をこらしめる法律がないのが気に入らない」や「これほど残酷で利己的で血も涙もない策略」などと言い、顔を赤くほてらせて怒りを募らせるなど
ホームズにもある種の全うな正義感があるのだと再確認したのである(好きだと言いつつも、どうも私はホームズに対して偏ったイメージばかり持ってしまっているらしい、改めなければいけない)。
 
この後にホームズが放ってくれた言葉には、彼らしくない恨み言のようにも聞こえるが、幾ばくか心を晴れさせてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今作のまとめ
・いつになく感情的なホームズが見られる
・タイプライターの癖
・見抜けなかったのではなく注意が足りなかっただけなのだ
 
 
 
 
 



 
 
 
 
 
やっぱり、ミステリーが好きだ。