このところ「高額の投資詐欺が急増している」との話をよく耳にする。株価の急騰に加えて、SNSアプリを使って有名人を語るなど、手口が巧妙化していることなどが背景にあるからだろう。
はじめは少額を投資させ利益を返す。おいしい経験を味わわせて大金をせしめるのは騙しの常套手段。賭博の誘いなども同様の手法が用いられる。
安心させるために「投資額が10倍、100倍になる」「絶対に損はない。なぜなら元本が保証されるからだ」「急がないと他にいってしまう」「家族や友達には黙って投資し、儲かったところでみんなを驚かせよう」などと、型にはまった文句を矢継ぎ早に発する。
株や投資でそんな都合のいい話があるなら自分でやっているはずで、なぜ人を誘うのかを考えなければいけない。
もちろんそれを詐欺の加害者に問えば、「私もやって儲けさせてもらっていますよ。手持ちが何十倍にもなりました」と答えるに決まっている。そして、「この喜びをみなさんと共有したくてお誘いしています」と言うだろう。
もしも自分にこのような話が来たら、「つまりボランティアか?」と問う。「そうだ」と返事したら、「実は私も毎週ボランティアで清掃活動をしている。あたなのその精神に共感するので一緒にやらないか」と誘う。絶対にあり得ないが、間違って本当に来るようなことになれば、知り合いの警察関係者に声をかける。逮捕はできないものの訊きたい話は山ほどあるはず。
多くの人が指摘するように、「日本は海外に比べて規制が緩い」は事実だろう。そこは早急に改善してもらうしかないが、投資詐欺の場合はある意味、欲に駆られて自分から引っかかりにいくという側面もなくはない。
それだけに役所や警察、銀行などを語る特殊詐欺に比べて同情しにくい。このような詐欺に遭わないためには、やはり一人一人が「そんなうまい話はないぞ」との心構えでいることが不可欠だと思う。