皮膚科疾患は夏に増えます。アトピー性皮膚炎や虫刺されなどの湿疹も増えますが、水虫や癜風といった真菌感染症、とびひやひょう疽などの皮膚表面の細菌感染症に加えて丹毒や蜂窩織炎などの皮膚深層の細菌感染症が急増します。
皮膚の細菌感染症で最初に使うのがセフェム系の抗生剤です。皮膚科のみならず、一般的な細菌感染症で一番使われる抗生剤です。
こんな時に、なんと、セフェム系の抗生剤を製造していた工場で不正が発覚、5月下旬に製造停止となっていました。しかもしかも、この工場は2021年にも製造工程に問題があるとのことで行政処分を受けていました。今回は2度目ということになります。
もーーーーっ、最っっっっっっ低です!!!
抗生剤は命に関わる大切な薬剤です。
そんなプライドはないのでしょうか???
その工場は国内でセフェム系の内服抗生剤を作っていた大手。1社のみならず数社の主要な抗生剤を製造していたため、先発品後発品関わらず多くのセフェム系抗生剤の製造が中止。そうなると、製造ラインが動いているメーカーさんに注文が殺到、製造量を急に増やすことは出来ないため、いくら殺到しても供給量は増やせません。
セフェム系の代わりとなるペニシリン系も入手困難となりつつあります。
抗生剤がなくなったら、もはや患者さんの体力次第になってしまいます。いやはや恐ろしい状況になります。
今はまだ薬をお渡しできております。抗生剤はとてもとても貴重なので、処方されましたら確実に飲んで下さい。そして、涼しいところで安静をとるようお願いします。暑い中でトダバタ出かけたら治りが悪くなるどころか悪化します。また、飲み忘れも無いようお願いします。最短で治すことにご協力のほどよろしくお願いいたします。