マダニ刺咬症(虫が苦手な方は見ないで下さい) | ももせ皮膚科のよもやま

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医者をやっていると、様々な非日常の状況を目にします。手術でお腹や胸の中は全く問題なく見ていられます。指が取れそうとか、火傷で皮膚が剥けてしまっているとか、頭を怪我して血まみれなどなどもほぼ平常心で見ていられます。唯一といって良いくらい、苦手なものが”マダニ刺咬症”です。マダニ単体で見るのは何とも思いません。しかし、皮膚に突き刺さって足がパタパタ、体がモゾモゾ動いている状況が本当に苦手なんです。

写真からも分かるように、口を差し込みがっつりとくっついています。血液を吸い、虫体は日に日に大きくなっていきます。上の写真のマダニはまだ吸い付いたばかりだと思います。

 

マダニ刺咬症を放置するとマダニの唾液から様々な感染症を引き起こすので、何とかして虫を取る必要があります。

”口器”を差し込み、少々のことでは抜けません。この口器を皮膚に残すとトラブルを起こします。また、体を潰すと唾液をさらに皮膚に押し込むことになり、出ている部分の体だけもぎ取る訳にもいかないのです。

 

そこで、ワセリンやアルコール消毒薬で浸して、窒息させて口を皮膚から離れるのを待つ、とか、他にも専用の器具も出てはいます。

 

しかし、体を潰さずに口器を取り除く確実な方法は皮膚を切開する、いわゆる手術になります。これがまた苦手。。。虫さんは処置中もピクピク動きます。もう、勘弁してーーーと心で叫び、表面的には冷静を保つようにしています。この処置は何度やっても慣れません。

 

そんなマダニ刺咬症がこの数ヶ月とても増えています。ほとんどの方が無意識に払ったり、つまんだりで虫体を取って来られます。私としてはとっても有難いのですが、先ほども触れたように無理にもぎ取ると危険です。いじらずに虫をくっつけたままで受診するようにして下さい。

 

病院に来るまでに虫を保護する方法として、ペットボトルのキャップで虫を覆いテープで固定しておくと、不用意に虫が取れてしまうことを防げます。