麻疹の診断とワクチン | ももせ皮膚科のよもやま

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この数日のニュースで麻疹が問題となっています。

 

今日は皮膚科医らしい投稿です。

 

私が医者になった頃、20年前には麻疹はそんなに珍しい病気ではありませんでした。予防接種が進み徐々に患者数は減少、今ではまず診ません。ということは、麻疹を診た経験のある医師を始め医療関係者が減っています。

 

麻疹の診断はかなり難しい。典型的な経過の図を示します。

発熱とともにカタル症状といって咳や鼻汁、眼瞼結膜の充血が出ます。解熱するあたりに口腔粘膜に特有の”コプリック斑”が出ます。この斑点は1日程度で消失してしまいます。その後2回目の発熱とともに顔面から始まる発疹が出現して全身に拡大します。

 

診断の難しさの一つ目に”二峰性の発熱”があります。この始めの熱で麻疹を疑うのはまず困難です。多くの方はここで解熱剤や感冒薬、時に抗生剤を飲みます。解熱剤の影響で二峰性の発熱の経過がわからなくなったり、2回目の発熱と発疹では薬疹を鑑別に考えなければなりません。

 

診断の難しさの二つ目に、口の中に出てくる”コプリック斑がすぐ消えてしまうこと。この所見があればほぼ麻疹と診断できるのですが、見つけるのがとても難しいのです。

 

診断の難しさの三つ目に、皮膚症状が多彩であること。教科書的な顔面から始まる紅斑ではないことも多々あります。これが皮膚科医を悩ませる大きな要因です。

 

経験的な主観になりますが、高熱で動けずに会話もまともに出来ないような、単なる風邪ではない”重症感”がある時、麻疹を疑います。

 

麻疹に特効薬はなく対症療法となります。

また、空気感染をするのでマスクや手洗いで予防できません。予防はワクチンを2回接種することに尽きます。(一度罹患した方は一生免疫が続くのでワクチン接種の必要はありません

 

年齢によってワクチンを接種してきた回数が異なるので、以下を参考にしてください。