■てしまクリニック 9月の診療について
●9/2(土)午前 院長休診
上記日程において、手島院長が休診し、非常勤医師(形成外科医)が診察いたします。
こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
時々
流行り病(やまい)?
と呟いてしまうほど、同じような患者さんが数日内に立て続くことがあります。
1日に3人手を切った患者さんが来院したり
3日間でやけどの新患が4人いらしゃったり。
手が滑るウイルスでも流行しているのか??![滝汗](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/039.png)
![滝汗](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/039.png)
と訝しみたくなるくらい。
とはいえどちらも比較的よくあるケガなので、そういう偶然はあるっちゃあるのでしょうが、先週
耳前瘻孔の患者さんが複数名立て続いたのは初めての経験でした。
耳前瘻孔は「じぜんろうこう」と読みます。
耳の周りに生まれつきある皮膚の孔で
「耳瘻孔」とも言いますが、くぼみは耳の前の方にできるタイプが多いのと
「耳瘻孔」だと読みが「じろうこう」になり
お尻のほうの「痔瘻孔」と紛らわしいので
ここでは耳“前”瘻孔という名称のほうを使用いたします。
よくある耳前瘻孔の見た目はこんな感じ
![下差し](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/526.png)
この、耳の前にある小さい孔は、ごく浅いこともあれば、深いポケットを形成していることもあります。
深いものだと、ポケットが耳の軟骨を貫いている場合もあったりします![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
![アセアセ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/100.png)
孔の壁の内側は、皮膚と同じ成分で覆われています。
このため、当然皮膚のターンオーバーに伴って、剥がれ落ちた角質が「垢」となります。
孔が浅ければ、垢は自然に排出されますが
孔が深いと、垢は充分に出て行けず
ポケットの中に溜まってしまいます。
溜まった垢でポケットがパンパンにふくらんでくると、皮膚の表面からもその存在が見えるようになってきます。
また、溜まった垢が原因で、孔の付近から独特の悪臭が発生してくることもあります。
しかし、深い耳前瘻孔で1番困るのが
瘻孔周囲に炎症を起こしてしまうこと。
これは、皮膚によくできるおできの「粉瘤」が炎症を起こすのとよく似た機序で生じます。
瘻孔内に溜まった「垢」が異物と認識されて炎症を起こし、場合によっては細菌感染も併発して赤く腫れ、痛みを生じたり膿が溜まったりするのです。
炎症が、何をきっかけに、いつ発症するのか定かなことはわかりません。
ずーーーーっと何事もなく過ごせることもあります。
しかし、これまで実際に患者さんを見てきた立場からは、おおむね次のように説明させていただいています。
①耳前瘻孔は生まれつき耳の近くにある皮膚のポケットです。
②耳前瘻孔があっても何事もなく過ごしているひとはたくさんいます。なんなら気がついていない場合もあると思います。
③瘻孔の入り口から臭いがする場合、中で雑菌が繁殖している可能性があり、炎症を起こすリスクはやや高いかもしれません。
④ポケットが深いと、中に垢が溜まってポケットが膨らんでくることがあります。
⑤ 大きく膨らんでくると外からも目立つようになるほか、摩擦や圧迫などの刺激を受けやすくなるため、炎症を生じるリスクも高まります。
⑥耳前瘻孔を除去するには、手術が必要です。手術をする側からすると、炎症を生じたことのない耳前瘻孔のほうが周りとの癒着も少なく、きれいに取りやすいなどのメリットが大きいです。
⑦以上を踏まえて、私としては
![星](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/089.png)
![星](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/089.png)
![星](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/089.png)
これらの特徴を有する耳前瘻孔は、小さいお子さんでも積極的に手術を受けることを勧めています。
炎症を起こしたり、繰り返したりするうちに、手術が難しくなる傾向があるからです。
⑧上記と異なり、ポケットが浅く、膨らみも目立たず、臭いもそれほど気にならず、炎症も起こさないまま経過しているようなら、放っておいて問題ありません。見た目が気になるようなら、局所麻酔が可能な年齢まで待ってから手術を受けるかどうか本人が決めれば良いと思います。
小さいお子さんがこの手術を受ける場合、全身麻酔になることが多く、親御さんとしては大変気の揉める事態かとお察しします。
診察室で説明を受けてから、一旦ご家庭に持ち帰って相談されるご家族も少なくありません。
私としては、経験に基づいてより良いと思われる提案をしつつ、ご家族の選択を尊重したいと考えています。
それこそ「耳前瘻孔自体は、命に関わるものではない」ですから。
どういう病気なのかを知ってもらい、困り感の軽減につなげることも、町医者形成外科医の仕事のひとつと心得ております![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/590.png)
![ニコニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/590.png)