●1月の手島院長休診日はありません
こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
私の思う「こじらせ陥入爪」の特徴について触れる記事、後半です。
「こじらせ陥入爪①~③」はこちら
こじらせ陥入爪④ 巻き爪変形が強い
「巻き爪」とは、爪が横方向に巻いている爪のことを言います。
古い記事ですが、こちらをご参照ください
爪が巻いていると、端まで綺麗に切るのはかなり難しくなります。
切るのに失敗して端が棘のようにとがってしまい、それがきっかけに陥入爪になる患者さんも珍しくありません。
巻き爪のかたが陥入爪になった場合、私はまず爪の食い込んだ部分を最小限に除去して傷を治し、炎症を取ることを優先させます。
爪を適切に部分除去すれば、炎症は1-2週間で収まります。
その後爪がある程度伸びるのを待ってから
巻き爪の矯正治療を受けることをお勧めしています。
矯正治療は自費の治療なので、もちろん無理強いすることはありませんが
陥入爪の再発予防においても巻き爪矯正は効果的であることから、推奨されるべき治療だと考えています。
巻き爪矯正治療の一例はこちら
こじらせ陥入爪⑤ 爪の横幅が広すぎる
きちんとした統計を取っている訳ではありませんが、患者さんの中には
「明らかに爪の横幅が広い」
と感じるかたがいらっしゃいます。
このような方がいったん陥入爪になると、食い込んだ爪を除去するだけではテーピング等を頑張っても再発することが多く
爪の横幅を狭くする手術が必要となります。
簡易的な手術に比べると、患者さんにとってはやや負担の大きい手術になります。
当院では爪の横幅を狭くするのに「フェノール法」と言う術式を取っています。
術後の安静期間が比較的短く、出血等も少ないのがメリットですが、反面、爪の横幅の確実な狭小化が得られないこともあります。
爪母を直視下に切除する治療を実施している施設もあるため、希望される患者さんにはそちらをご紹介することも可能です。
こじらせ陥入爪⑥ 血行に問題がある
これは、ひょっとしたら「陥入爪」というくくりで話すべきではないのかもしれません。
しかし、開業して10年間、その中で3名ほど「陥入爪です」という訴えで診察し
実は足の血行障害でできた潰瘍だった
という患者さんがいらっしゃいました。
その特徴は痛みの訴えが通常の陥入爪よりも強いこと。
そして決まって、足がとてもとても冷たいこと。
こうした患者さんは、糖尿病等による動脈硬化や自己免疫疾患で、
重度の末梢血流不全が基礎にあることがほとんどです。
このタイプを「ひょっとして」と疑った場合、私は
内科の主治医を通じて血行の状態を評価できる施設への紹介を依頼しています。
血流が無いキズは、何をどうしようと治らないからです。
もし、このブログを読んでいる方で、ご自身やお身内の陥入爪がこれに当たるかも、と思った時は
是非、内科主治医の先生に相談なさってください。
終わりに
私は、形成外科が専門ですが、これと言った学術的実績のない、ただの町医者です。
陥入爪について専門的に研究したことも、根拠となる統計をまとめたこともありません。
ブログに書いたことは『自分の経験に基づく意見』でしかなく、エビデンスレベルとしては低いものです。
日々の診療で陥入爪患者さんの診察に当たる中で
こんなにこじれる前に何とかしてもらいたかっただろうに
と感じることも少なくなく、
陥入爪と言うものについてこれは知っているといいのにな
ということを、まとめておきたいと考えつつも、私なんかが書かなくてもいいのかな、と思っていました。
しかし今回、長男が陥入爪になって、気が変わりました。
これまで患者さんたちから教えてもらったことを
押しつけでは無い形で伝えるのも、大事かもしれない、と。
今回の記事が、どこかの陥入爪に悩む方の役に立てばうれしいなと思います。
読んでくださってありがとうございました