塗らない薬は効かない。ニキビ治療薬は使ってなんぼ。 | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

 

こんにちは。

 

もものマークのクリニック 院長てしまですもも



 

 

昨日は水曜、休診日。

 

製薬会社主催のWEBセミナーの案内を受け、興味をそそられる内容だったので、自宅で受けてみました。

 

↓こちらがそのチラシ


 

 

私が特に興味深く聴いたのは、一つ目の演題。

 

『刺激回避のためのベピオゲルの使い方と患者指導』

 

日本におけるニキビ治療薬は非常に長いこと

「炎症を起こしたニキビに対する薬(=抗生剤)」しかありませんでした。

 

ニキビ治療では、初期ニキビである『面皰(めんぽう)』の発生を抑えるべきであり、

面皰を抑えることで『炎症を起こしたニキビ』も減るし

炎症を起こした結果生じる『ニキビ跡』も、残らなくなる

 

というのがニキビ治療の基本的な考え方で、

この『面皰』を治療する薬がなかなか保険適用とならなかったころは

ニキビ治療に取り組む皮膚科医にとって長い「冬の時代」だったようです。

 

私が開業した6年前には既に

『面皰』を抑えるためのニキビ治療薬が普通に保険で処方できるようになっていたので

そんな冬の時代を知らずに済んでいる私はラッキーなのでしょう。

 

ただ、このニキビ治療薬、副作用として

 

赤み、乾燥、刺激感

 

といった症状が、高確率で発生します。

 

その事実については私も日々の診療で実感していて、

処方する際には、塗り方説明を必ず丁寧に行うように心がけています(実際の説明は看護師が実施)。

 

それでも、結構な割合で

 

「ヒリヒリして使えませんでした」

「赤くなって怖くなって塗るのをやめました」

 

という患者さんがまだまだ多い。

再来院して、上のような感想を述べてくれるのはまだ良いほうで

おそらくもっと多くの患者さんは

 

「処方された薬でトラブったけど、もう一度医者に行くのも大変だし、文句を言っていると思われるのもなんだし。」

 

で、塗らなくなって、当然ニキビも治らなくて、心が折れて治療中断

 

となっている可能性も高いに違いありません。

 

 

 

それってやっぱり、もったいないショボーン

 

 

で、昨日のWEBセミナー。

 

『副作用を起こさないようにする塗り方』を、非常に丁寧に解説してくださっていました。

 

これは使える!!爆笑

 

と思った私、さっそく、患者さんに配布している説明書を改訂。



 

今まで説明していた方法よりも、副作用による肌トラブルを抑えられ


100人に3人ほどの確立で生じてしまう「アレルギー反応」の発生も、早い段階で気づいて抑えることができるような内容になったと思います。

 

ただし、ぶっちゃけ

 

これまでの塗り方よりも、ちょっとめんどくさい

 

というのも事実(^^;

 

ニキビに悩むのはやはり比較的若い年齢層が多いので

ついて来てくれるかがモンダイ。

 

 

 

でもね、こんな風にも思うのです。

 

保険で処方された薬には、本人だけではなく

その保険を支える他人様のお金も投入されています。

 

それを十分に活かすことなく

 

めんどくさい→塗らない→効果ない→やーめた

 

と簡単に放り投げてしまうのは、ある意味、責任を放棄する行為なんじゃないかって。

 

 

ニキビ治療、確かにめんどくさいと思いますよ。

 

薬は基本的に自分で塗らなきゃいけない。

塗らない薬は効かない、これ自明の理。

 

そして、いくら薬を塗っても、日常生活乱れまくりの

栄養ガタガタな状態だったら、薬の効果だって上がらない。

 

だから、治したいと思うなら、生活を見直す覚悟だって必要です。

 

医者に行けば、簡単に、ちちんぷいぷいのプイで治してくれる?

 

そんな都合のいい話あるかいな。

 

 

おできが腫れた、とか、ケガをした、といったたぐいのモンダイが

バーっと悪くなって、ドーンと治療して、スカーッと治る「短距離走」だとすると

 

ニキビ治療は「マラソン」に似ています。

 

生活を整えて、食事にも気を付けて

必要な薬をまじめに塗って

 

そんな、地道な努力をコツコツと続けなければいけない。

 

コツコツ頑張っていても、ストレスが多かったりすれば、急に調子が悪くなることだってある。


「もうやだー!えーんと言いたくなることもあるでしょう。

 

それでも、ニキビ治療で頑張って通院している患者さんを見ていて感じるのは

 

「自分が治すのだ」という意志は、多くの場合実を結ぶ、ということ。

 

頑張りたい、と思うひとの気持ちに応えるべく

 

我々も、より良い「伝え方」を常に模索していかねばと思います。