こんにちは。
もものマークのクリニック 院長てしまです
少し前に、お世話になっているかたから
「地方に住んでいる知り合いが、背中に粉瘤ができて痛がっているけれど
地元のお医者さんは飲み薬を出すだけで、痛いしかゆいしで困っているとのこと。
近々東京に行く用事があるので、その時にどこかで診てもらおうと思って調べたら
どうやらてしま先生のところを見つけたらしい。
受診した当日に手術してもらえないでしょうか。」
というメールが突然届きました。
東京で医者って言ったらゴマンとありますでしょう。
このところ、おできや粉瘤系の記事もとんと書いていないのに
よくもまあうちにヒットしたもんだわと驚きつつ検索かけてみたら
広告の1件目にモザイクかけてます
てしまおできクリニック健在なり(爆)
明らかに膿がたまったおできで、ご本人の健康状態が許すものなら
とっとと切ったほうがずっと感染は収まりやすい、コレ常識。
そして、私は出自が皮膚科ではなく形成外科ですから
必要があれば切ったはったすることにはまったく抵抗が無いわけです。
逆に、あんまり手術がお好きでない皮膚科の先生や
ついでに皮膚科も診ている感じの内科の先生が
何週間も抗生剤の内服だけ出しているのを見ると
なんの我慢比べだ
と呆れる驚くこともしばしば。
まあ、慣れないことや苦手なことには手を出したくないし
ひょっとしてうまいこと薬で収まったらラッキー♪と思いたい気持ちもあるしで
とりあえず先延ばしてみた
という医者の気持ちも、同じ医者として分からないではありません。
私だって、こと自分の不得意分野については、そっちに逃げたくなる心境になります(←正直)。
特に、東京のように大規模中規模小規模問わず、他の医療機関へのアクセスが異様に容易な場所なら
「うちでは切れないからひとつヨロシク」と、他院にお願いするのも比較的気軽にできますが
日本国内の大半の地域ではそんなわけにもいかないはずで
かといって、万が一「慣れない手で切ってみたもののトラブった」なんてことになったら、患者さんも医者ももっと困るわけで
地方では特に、色々天秤にかけて「やっぱ先延ばしっしょ」とならざるを得ないケースが多々あるのだろうなあと思うのです。
さて、くだんの患者さんは、ガッツリ腫れたおできを背にてしまクリニックを受診してくださいまして
特に内科系の病気も何もない健康な方だったこともあり
受診したその日に溜まった膿と、破れた粉瘤の袋のお掃除をする『切開排膿』という処置を
局所麻酔で受けていただきました。
こんな風に、うちのクリニックでは「これは切開以外の選択肢はないよね」という時には
初診でも切開の処置をすることが、よくあります。
が
こういうことを書くと、必ず一定数存在するあわてんぼうさんが
「ここに行けばその日のうちに切ってスッキリさせてくれるのね!」
と脊髄反射で感動してくださって
「さあ切ってください!!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」
みたいに受診されることがありますが
それ、違うから(強調)
あのですね
切るべきか切らぬべきかは、わしが見て決めるんじゃ。
そもそも、おぬしが切るに耐える体調かどうか(持病の有無とか)も、大事なんじゃ。
あと、切った後のフォローのために来院するようお願いすると「それ無理」みたいに言うのヤメロ。
病院は、確かにお金を払ってサービスを受ける場所ではあるけれど
コンビニで好きなパン買うのとは違います。
あなたに必要なサービスが何なのか
そもそもサービスが必要なのか必要じゃないのか
必要であるにしても、それを行うことのメリットデメリットを測ったらどうなるのか
そのあたりを任されて
持てる知識と経験を総動員して判断するのが医者だし
そんな医者のことをある程度信用して
必要な指示を守るために、できることはしようと頑張るのが
医療サービスを受ける側の務めだと思うのだが如何。
ちなみに、上の患者さんは、かなりな遠方にもかかわらず
切開後の診察には帰宅の時間を調整してきちんと受診してくださったし
傷の治りのチェックのために必要と判断した受診頻度をしっかり守って上京してくださって
本当にありがたかったです。
短い診療時間で信頼関係を築くために
患者さんも、医者も、どちらもそれなりの努力は必要だよねと
毎回思う私なのでした。