帝王切開後の傷跡ケア①~テープを貼るのはなんのため?~ | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

 

こんにちは。

 

もものマークのクリニック 院長てしまですもも

 

 

今回のお題は患者さんからいただいた

 

帝王切開後の傷跡のケアについて。

 

 

とは言え、形成外科医である私と、一般のお母さんたちの間では

情報量に隔たりがある可能性は否めません。

 

あんまりピントのずれたことを書いてもね

と思ったので

 

まずは皆さんが一番目にしやすいであろう

ネット上の情報をチェックしてみることにしました。

 

で、目に留まったのが『たまひよ』のコラム。

「妊婦さん向けマガジンといえば」の『たまひよ』です。

 

帝王切開後の最初のケアで、傷あとはずいぶん違ってきます!

 

おお、ビンゴなタイトル!!

読んでみると内容も

 

もも帝王切開には縦切りと横切りがあること、それぞれの特徴

もも3か月間はテープ固定しておくといいこと

もも消毒はしない方がいいこと

もも5年、10年たてば個人差はあってもだんだん目立たなくなってくること

 

などなど

 

湿潤治療的なことまで盛り込んであって

もう私、ブログ書かなくてもいいんじゃね?

 

と思わないでもなかったのですが(ヲイ)

 

そこはそれ、

形成外科医として帝王切開後の傷跡治療をたびたびしてきた立場から

追加で提供できるインフォメーションもございます。

 

こちらの良く出来た記事に追記するかたちで

私のブログは進めさせていただきましょう。

ありがとう『たまひよ』。頭から記事作るより楽...(小声)

 

さて、一応「傷跡のケアについて知りたい」というご要望なので

 

「テーピング」「消毒の是非」

について書きます。

 

まずは「テーピング」

 

抜糸後の傷跡に、テープを貼っておくよう指示された方も

いらっしゃるのではないでしょうか?

 

こんな感じの、不織布のテープが多いかと矢印

 

 

 

 

これは、何のためにするかと申しますと、ズバリ

 

傷跡の安静を保つため

 

抜糸直後の傷跡は、だいたいが幅1ミリ以下の細い線状。

しかし、この時点での傷跡はまだ組織が未熟です。

 

日々の生活で体が動けば、当然お腹の皮膚も動きます。

のびたり、ちぢんだり、ねじれたり。

 

傷跡周囲の皮膚が動けば、当然傷跡の組織も引っ張られます。

まだ未熟な傷跡は

引っ張る力がかかることで、徐々に幅が広がっていくことが多いのです。

 

そこでお助けマンとなるのが、テーピング

 

のびちぢみしないテープを抜糸後の傷跡に貼ることで

傷跡周囲の皮膚の安静が保たれ

傷跡が幅広になっていくのを防いでくれると言われています。

 

 

また、未熟な傷跡は、のびちぢみだけでなく

摩擦の刺激にも弱い。

 

帝王切開の傷跡は当然ながらお腹にあるので

 

下着やボトムスのウエスト部分がこすれたり

ウエストベルト付きの抱っこ紐が当たったりします。

 

摩擦の刺激によって、傷跡がかゆくなったり

盛り上がってきたりすることは珍しくありません。

 

しかし、テープを貼ることで

このような摩擦・圧迫の刺激を和らげることができます。

 

 

傷跡を守ってくれるテーピング。

 

しかし、実際のところ、続けられない、というお母さんが多いのも

ぶっちゃけ事実。

 

 

こういった効能を知らぬが故、というところもあるのでしょうが

やってみてわかる問題点、てのが、確かにあるのですよ。実は。

 

長くなったので

「なんでテーピング続かないのか問題」

については次回。

 

でも

この記事書きつつも思う。

 

帝王切開なんて一大事を乗り越えて

しかも赤ちゃんがすくすく育っているなら

それだけでお母さんじゅうぶん頑張ってるよ!

 

ってことは、いちばんにお母さんに伝えたいなあ。

傷跡のことは、あんまり気にし過ぎないでいいんだよー。

 

.....矛盾してるかな?(笑)