顔ニモマケズ | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
湿潤治療、シンプルスキンケアのこと、もっと皆さんに知ってほしい♪

 

こんにちは。

 

もものマークのクリニック 院長てしまですもも

 

 

本屋で見かけて、どうしても目が離せなくて

 

手に取って少し読んで、でも買って全部読む勇気が出なくて

 

棚に戻すのを3度ほど繰り返した本がありました。

 

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それでも昨日、やっぱり自分はこの本から逃げてはいけない気がする、と思い

 

購入して、あっという間に読みました。

 

 

『夢をかなえるゾウ』で有名な作家 水野敬也さんが

「見た目問題」解決に取り組むNPO法人『マイフェイス・マイスタイル』を通じて紹介された

9人の人たちにインタビューをし

その内容をまとめ上げた本です。

 

この本を手元に置く踏ん切りがなかなかつかなった理由、それは


「形成外科医」という、自分の仕事が

 本に出てくる人たちの生き方と、時に相容れないものであることを

 読み始めてすぐに悟り、胸が苦しくなったからです。

 

 

わたしが形成外科医を志したのは

 

医学生時代のたった2コマの形成外科の講義で

 

「こんな専門科があるのか!」と衝撃を受けたことがきっかけでした。

 

外見に問題を抱えた患者さんの悩みを

高度に洗練されたテクニックで解決し

社会生活を送りやすくする。

 

そんな形で患者さんを支える科もあるのかと、ストレートに感動しました。

 

その感動は、臨床実習で各科をローテーションしても薄らぐことなく

やっぱり自分は、形成外科医になりたい

と心に決めて

卒後すぐに形成外科の医局に入局しました。

 

大学病院や関連施設では、本当に様々な患者さんに出会い

形成外科医の知識と技術が存分に活かされたケースをたくさん見てきました。

 

患者さんやご家族の喜ぶ顔は、治療に当たった医療者にも、大きな幸せをもたらしてくれます。

 

「この仕事をしていてよかった」

と感じる瞬間です。

 

 

しかし一方で、医学の力では完全に治すことができず

ゴールの見えない状態に悩まされる患者さんも少なからずいらっしゃいます。


治療を求められた医師は、なんとかその期待に応えたいと思います。


でも


良かれと思ってした治療が

必ずしも患者さんの人生を幸せにするとは限らない。


本の中でも、読んでいて苦しくなるところがいくつも出て来ました。


手術が終われば、左右対称な『普通の顔』になれると思っていた。でも、包帯が取れてみて、そうじゃないとすぐにわかった。


なんども手術を受けたけれど、完全に治るってことはないとわかったから、自分はもう受けていない。でも、同じ病気で治療を受け続けているひともいる。


過去に付き合った恋人は、自分の病気を「なんとかして治してあげよう」と頑張ってくれたけど、むしろそれが別れる理由になったのかもしれない。


いちばん辛かったのは、障害そのものよりも、治ると思って受けた手術が失敗したことだった。



もうね


読むのが辛いったらない。


治療する側の気持ちが、とてもよく分かるから。


そして、本を読むと

人とは違う見た目に悩み抜いてきた人たちがつかんだ「幸せに生きるための方法」


それは結局、医者が与えるものではなくて


そのひとそれぞれが、もがきながら自分で選択し、折り合いをつけてきた中で得たものに他ならないと

思い知らされるから。



ええ、ほぼめった刺しです(苦笑)


それでも自分は、やっぱり読んでよかったと思います。


この本に書いてあることを忘れずにいれば

そうでない場合よりも、きっといい医者でいられる


そんな、気がします。


なんというか、想うところがあり過ぎてうまくまとまらない。すみません。


まあ、そんな記事もたまにはあってもいいかなと。