肝斑ってなあに?① | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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こんにちは。

もものマークのクリニック 院長てしまですもも



肝斑は、顔に対称性にモヤッと広がるシミです。

矢印典型的な肝斑のイラスト(第一三共ヘルスケアのHPから転載)



うっすらした肝斑は、シミというよりも「くすみ」といった方がしっくりくる見た目をしています。

矢印先日紹介したこちらの患者さんも、うっすらタイプ。
むしろ、肝斑以外のシミが目立つくらい。

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30代から50代の女性に多く見られる肝斑。


肝斑の色素は皮膚の浅い層(表皮)に存在します。

表皮を構成する細胞のうち、9割を占めるのがケラチノサイトです。

ケラチノサイトは刺激によってプラスミンという物質を産生します。

プラスミンには、メラニン色素を作り出すメラノサイトを刺激する作用があるため、

プラスミンが産生されることでメラノサイトからのメラニン色素産生が活性化し、肝斑となって現れます。


もちろんプラスミンにはプラスミンなりの存在意義があって増えているわけですが

シミは出来ればご遠慮したいと思っている妙齢の女性にとっては

厄介者と言わざるを得ません


そんな、プラスミンの働きを抑制する効果があるお薬が「トラネキサム酸」。


テレビのCMなどで有名な肝斑の治療薬トランシーノは、このトラネキサム酸が主成分の内服薬です。


私も、肝斑の明らかな患者さんにはトラネキサム酸の内服をおススメすることが多いです。


が、しかし、

トラネキサム酸にはもともと止血剤としての作用があるので

次のような患者さんには処方を控えています。

① 過去に心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓症など、血栓が原因となる病気を経験された方。

② 婦人科でピルを処方されている方(血栓のリスクが増えるため)。


②については、喫煙しない人の場合は血栓形成のリスクがぐーんと落ちると言われているので

ピルを内服している患者さんにも処方している医師はいるようです。

私は、肝斑の内服治療は長期にわたる場合も多いし

そもそも美容が目的の治療なので、リスクを冒してまで飲むものでもないのでは、と考えて

ピルを内服中の患者さんへの処方は避けています。


トラネキサム酸を内服出来ない患者さんには、イオン導入でトラネキサム酸をお肌に供給する方法をご紹介しています。



ただ

内服にしてもイオン導入にしても、トラネキサム酸を供給して肝斑を薄くする治療は

ぶっちゃけ

「やめればそれまで」

の方法です。


なので、医者としてぜひとも知って頂きたいのが

「何が表皮ケラチノサイトの刺激因子になってしまうのか」


ということ。


うちのクリニックで美容相談を受けてくださった患者さんには

そこのところをしっかり説明するように心がけています。


そこのところを説明したら

むしろ薬がいらなくなっちゃってクリニックの経営的にはどうなんだ(爆)

っていう話もあるとかないとか



でも、患者さんが良くなるなら、ま、いっかと思う私がいるので(笑)

次回はその「ケラチノサイトの刺激因子」についてお伝えしようと思いまーす