だから水いぼごときで騒ぐのやめようよ | 文京区小石川 もものマークのクリニック 院長ブログ

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文京区春日駅最寄りの形成外科・皮膚科のクリニック。
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こんにちは。

もものマークのクリニック 院長てしまですもも


今年5月の記事矢印プールに入ってもいいの?

ここで取り上げた、日本皮膚科学会誌掲載の

委員会報告「学校感染症 第三種 その他の感染症:皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解に関する解説」

やっぱり日本語としてイケてねえええ!
(´Д`;)


今年の夏、水いぼ(=伝染性軟属腫)の相談で来院した患者さんには
そもそもどんな病気なのかを説明した上で
この報告のことも伝え

「水いぼって、必ずしも取らなくていいんですよ」

と説明していた私ですが

最近届いた、同じく日本皮膚科学会誌10月号に
開業している皮膚科医がこの報告に関する質問を寄せ
それに対する学会の回答が掲載されていました。

{890B72D5-F7D0-4DF7-BF96-6F98EBA74D27:01}


以下質問の抜粋です。

水いぼに関し、日本皮膚科学会として「取るべきか?取らずに放置?」どちらなのでしょうか?
開業医では、教育委員会、保健所、小児科医会に対し、Yes or No待ったなしの判断を要求されています。


以下学会の回答(ちょっと長いです)

‘現在、日本皮膚科学会においては「水いぼを取るべきか、取らずに放置すべきか?」に関する統一見解は存在しませんが、原則、治療することを勧めます。(中略)
ちなみに海外のガイドラインですが、米国CDCのホームページでは治療に関して、「健常人では伝染性軟属腫は自然治癒する疾患であり、治療は必要ない。ただし、目に見える部位の病変や、アトピー性皮膚炎患者、そして病変を広げたくないと望む人に対しては迅速な治療が必要かもしれない。治療方法としては冷凍凝固、掻爬術やレーザー治療がある。これらの治療には熟練した医療技術者が必要で、局所麻酔を必要とする場合もある。施術後に痛みや炎症、瘢痕を残す場合がある。」とあります。
イギリスのガイドラインでも同様に、「病変は自然消退するので、治療は審美的な理由がある場合に限る」とあります。
ただし繰り返しになりますが、伝染性軟属腫に関する我が国での統一見解は現状では存在せず、これから形成されていくことを申し添えておきます。’



これを一読しての私の感想。

みんな自分が責任取りたくないのね
( ̄ー ̄;

イギリスのガイドラインにもあるように、水いぼは自然に治癒する病気です。

患者さん本人の身体に、水いぼのウイルスに対する免疫が成立すれば
出来ているいぼは徐々に排除されますし
新しいものも出来なくなります。

たぶんそれは、日本の皮膚科の先生方もご存知のはず。

日本皮膚科学会として「取るべきか?取らずに放置?」どちらなのでしょうか?

と、詰め寄ることにどれほどの意味があるのかしら。


そして学会側も

米国CDCはうんたら、イギリスのガイドラインはうんたら

って。
人のフンドシ借りてどないすねん。

挙句の果てには

日本では統一見解はありません

ときたら
逃げやがった
と思われても仕方あるまい。

そして一番問題なのは

水いぼごときでみんな騒ぎすぎ

ってことだな。
親も、園も、学校も、医者もだよ。

もちろん、アトピー性皮膚炎が基礎疾患としてあり
水いぼのせいで痒みがひどくなった上
掻き壊して水いぼもばばばばっ!と増えてしまったり

水いぼに対する免疫反応が強すぎて
ひどい膿瘍を形成してしまうようなレアケースでは

除去することに意味もありますが
そっちのほうが稀なわけで。

医者も、臨機応変に対応すればいいんじゃないの?
と皮膚科専門医でない私は思うのです。


うちの子が水いぼをうつしたって言われたら困るから

園や学校やスイミングスクールでうつったといわれたら困るから

患者の親に相談されたとき「学会がこう言っているから」で説明が済むから

欧米ではこういう方針だといっておけばそこから察してくれるだろうから


って。

もう

なんか気持ち悪くて仕方ない

と、生理的に受け付けないのは私だけなのでしょうか????
うーむ。