ハイドロコロイドによるトラブルのシリーズ3回目です
シリーズひとつめの記事はこちらハイドロコロイドでトラブった?①
シリーズふたつめの記事はこちらハイドロコロイドでトラブった?②~汚いキズに貼ったらダメよ!
今回のテーマは
傷の周りの皮膚のトラブル
ハイドロコロイドを貼っていたら、傷の周りの皮膚がかゆくなったりヒリヒリした
これ、経験したことのある方、かなり多いのでは??
ハイドロコロイド自体を貼らなくなれば、多くは自然に収まるものですし
前回記事のような感染の悪化とは異なり
大きな問題につながる可能性は低いので
なんとなーくスルーされているのかもしれませんが
実際、結構見かけるトラブルです
傷は明らかに良くなっているけれど
周りの皮膚が残念なことになっている
ってゆーのは
湿潤治療あるある
ですよホント。
私自身はハイドロコロイドで湿潤治療をする時
周囲の健康な皮膚の状態を、どれだけ崩さずに傷を治すかが
プロとしての腕の見せ所かなと思っています
そんなお肌のトラブルの原因は
概ね次の3つのどれかです。
ハイドロコロイドの素材自体に対するアレルギー
貼ったり剥がしたりの刺激による皮膚炎
傷の周りの皮膚が密閉されることによるあせもやとびひ
まずは
ハイドロコロイドの素材自体に対するアレルギー
これは、少ないながらも一定の確率で発生するトラブルです。
ハイドロコロイドの粘着面の
素材自体にかぶれてしまう人が
残念ながら少数いらっしゃるのです。
この場合、ハイドロコロイドを貼っていたところにぴったり一致する範囲で
湿疹がバッチリ出現するのが特徴。
こんな感じ
ハイドロコロイドの使用をやめて、
皮膚炎を起こしたところはプロペトで保護したり、ステロイド軟こうを外用したりすれば
速やかに収まることがほとんどです。
あるメーカーのハイドロコロイドはダメだったけれど他のメーカーのは平気だった
というようなケースもしばしば認められるので
他社製品に切り替えて試してみるのも一つです。
続いて
貼ったり剥がしたりの物理的刺激による皮膚炎
コレ、結構多いです
特に、乾燥肌気味の大人に多い印象があります。
もともと乾燥して、角質のバリアが弱いところに
ハイドロコロイドの貼ったはがしたを繰り返すことで
角質がさらにダメージを受け
傷の周りの皮膚がヒリヒリしてきます。
特に、膝小僧の傷にハイドロコロイドを貼るとき
膝をピーンと伸ばした状態で貼ると
ハイドロコロイドは皮膚ほどにはしなやかに伸び縮みしないので
膝を曲げた時に縁の辺りの皮膚がグッと引っ張られてしまいます。
繰り返すうちに、強い力がかかっていた部分が赤くなったり
ひどいと水泡になったり
なので
関節部にハイドロコロイドを使う際は
軽くその関節を曲げた状態で貼るのもコツのひとつ
また、ハイドロコロイド製品の粘着性は
メーカーによって結構違います。
しっかりくっつくものもあれば
はがれやすいものもあります。
色々使った私の印象としては
キズパワーパッドの粘着力はかなり強い
なので
トリセツにあるように
お肌をケアした剥がし方を心がけないと
交換の刺激でトラブってしまうかもしれません。
お気をつけて!
そして最後
傷の周りの皮膚が密閉されることによるあせもやとびひ
皮膚は、排泄器官でもあります。
古い角質層は剥がれ落ち
汗は老廃物を溶かし込みながら外に流れゆくもの。
しかし
ハイドロコロイドを貼ると
その流れがよどんでしまいます
すると
あせもができたり
細菌が増殖してとびひになったり
こんな感じ
とびひになったらハイドロコロイドは即刻中止
膿の貯まりは出来るだけつぶして綺麗に洗い流し
プラスモイストのような、密閉度の高くない保護剤に切り替えます。
出来れば抗生剤も使いたいところ。
このトラブルはどちらかというと
代謝の活発な若者世代、しかも夏場に多い印象です。
暑くなり、ハーフパンツや短いスカート姿のお子さん方が増える季節
転んでひざに擦り傷、なんてことも少なくないに違いない。
ハイドロコロイドはつよーい味方ですが
くれぐれも、あせもやとびひにはご注意を
なんか困ったら
ご近所の方はクリニックまでお越しください