これからしばらく湿潤治療とは直接関係のない話題かもしれませんが、
やけどその他のけがが治って、次に気になるのが
「このきずあと、一体どうなるの」
ということではないでしょうか?
切り傷で縫った場合なら、抜糸が終われば、傷としてはいったん「治った」ことになります。
やけどや擦り傷など面状のけがなら、傷の全面が薄い皮膚の細胞で覆われた状態で「治った」と言えるでしょう。
私も以前はこの時点で「治りましたね。よかったですね。」と、何の疑問もなくお話していました。
でもね・・・・それは違うのではないか、と、
いつの頃からか思うようになったのです。
患者さんにしてみれば多くの場合、この時点では「治った実感」ゼロなのですよ。
もとの滑らかな肌色の皮膚とはかけ離れた見た目だったり、
少しの刺激でピリピリ痛かったり、かゆかったりといったトラブルがあることも多々
仕事上、たくさんの患者さんを見ている医者にしてみれば
「これこれこういった傷でこれくらいの期間で治った場合には
だいたいこれくらい経てば赤みが取れてきて
きずあとの固さもなくなってきて
見た目こんな感じに落ち着くだろうな~」
ってな予測は当然立つのですが、
多くの患者さんにとって、病院にかかるようなけがは一生にそうそうするものではありません。
だから、「きずあとの今後」がわからなくて不安になるのは当然のこと。
なので、ここでは大まかにでもいいから、
よくあるきずあとのを説明してみたいと思います。
題して
「きずあと劇的ビフォア&アフター」 気分は匠
(・・・・待てよ、傷が治ったあとの話だからアフター&アフターか??)
前置きが長くなりましたが、
今回は切り傷のあとのその後について。
テープで寄せてくっつけたり、縫合したりした場合、
きずあとは基本的に線状のはず。
この線状のきずあとは、治って1,2か月は赤みが目立ち、触ると硬さがあることが多いです。
でも、3か月ほどたつと、赤みや硬さはひと段落する場合がほとんど。
後は徐々に白っぽいきずあとに変化していきます。
ただし、関節部などのよく動くところや
皮膚の張りの強いところでは、
きずあとが周囲の皮膚に引っ張られて徐々に線の幅が広くなりやすいため、
伸縮性のないテープできずあとを3カ月ほど固定して、
なるべく線の幅を狭くする努力もしたりします。
また、傷の経過や体質によっては、きずあとが固く盛り上がる
「ケロイド」や「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」になることもあるので、
このきずあと大丈夫かな??と不安に思った時には
形成外科を早めに受診するのがおススメです。
それともう一つ、これは少々言いにくいことなのですが・・・
顔などの目立つ場所の切り傷を
ふとーい糸で幅広くがしがしと縫われ、
おまけにその糸がぐいぐいと締め上げてある時。
そうですね、見た目で言えば「チャーシュー」のように、
皮膚に糸が幅広く食い込んでいる時には・・・・
できることなら一刻も早く、どこかほかの病院で抜糸してもらった方がいいです。
縫った医者が「一週間後に抜糸」と言ったとしても。
なぜかというと、
切った傷の跡だけではなく、
糸で締め付けられた部分や、糸の通った穴までしっかり残り、
まるで「魚の骨」のようなきずあとになってしまうから。
内臓の外科手術など、命や身体機能に関わる話なら、優先順位がまた別ですが、
ただの切り傷で、しかも縫い方のせいで、目立つ跡が残るのはあんまりなんじゃないかと。
よその医者のすることを、状況を知らない私がつべこべ言うのはマナー違反かもしれませんが
困るのは患者さんなので。
あえて言わせてもらいます。
丁寧に縫う自信と技術がないなら、無理に縫うんじゃねえ!!
テーピングと圧迫だけで十分じゃい!!
・・・・・・ハアハア。血圧上がった。
なんだかずいぶん話がそれてしまいましたが、
次回はきずあと編②~擦り傷~でお会いしましょう。キャハ(←今さらの女子アピール(遅)