またまた、提供された精子で生まれた人の気持ちを伝えるテレビを見ました。

私は何者か知りたい ~AID・進歩する生殖補助医療の陰で~クローズアップ現代

この番組を見て、印象に残ったのは、

精子というものではなく、人間から生まれてきたことを実感したい。嘘のない家族と生活したい。

でした。きっと私はこの方の想いをどんなに考えても、正確には理解できないだろうと思いました。とっても残念です。

 

こちらのサイトでは、

第三者からの精子提供 「出自を知る権利」とは 【Q&A 詳しく解説】

▼精子提供者(ドナー)の性格や趣味など人となりを知り、自分の命が生み出された過程に“医療技術”だけでなく“人”が関わっている手触りを感じたい。

▼遺伝性の病気を防ぐためにも、事前に精子提供者がどんな病気にかかりやすいか知っておきたい。

▼ひとりの精子提供から複数の子どもが生まれている可能性がある。精子提供者だけでなく、異母兄弟、異父兄弟を知り、近親婚を避けたい。

とありました。人が関わっている実感や、精子提供者がどんな病気に罹ったのか。近親婚を避けたい。

 

この想いには共感できます。確かに、実親に育てられていれば、親がどんな病気に罹り、その病気が自分にも遺伝するのか?直ぐに知ることができますが、精子提供者の情報は、子供に届きません。また、近親婚も、実親に育てられれば、簡単に避けられます。

 

父親ではない精子から生まれた子供さんは、親との遺伝的な違いに気がついているのに、質問すると、答えを濁される。このもやもやを抱えて成長することは、確かに辛いだろうなと思います。きっと、嘘のない親子関係を望んでいるのでしょう。

 

前回のブログでは、子供を産み育てる理由は、昔は生産財、今は消費財と考え方が変わってきていることを、書きました。

 

私は、純粋に子供を慈しみ育てたいと思って、特別養子縁組みをしたり、不妊治療をし、最終的には提供された精子で子供を授かった親は、授かった子供さんを生産財として考える人はいないと思うのです。むしろ大切に育てたいと望み、実際大切に育てたのではないでしょうか。決めつけてはいけないのかも知れませんが、そのことをよく考えて欲しいと思うのです。

 

しかし、残念なのは、子供が遺伝上の親ではないのではないかと不信に思っているのに、その問いを曖昧にしてきたことは、やっぱり好くないと思います。そこに残念ですが、嘘が生まれてしまいます。この嘘は、早い段階で精子提供で生まれた旨を伝えていれば、避けられると思います。特別養子縁組も同じです。

 

番組では、この第三者からの精子提供による不妊治療が始まった時期には、子供を授かりたいと望む親の気持ちに添う精子提供者が多かったため、精子提供者のプライバシー保護の観点から必要だったのかも知れません。そのために、精子提供者の個人情報が開示される可能性があると、精子提供者は減ってしまうことも考えられるので、プライバシーの開示は、難しい問題なのでしょう。しかし今は子供の幸せに沿う精子提供者が増えれば、情報開示の賛同を得られやすくなるように思いました。