浜松子ども劇場 高学年部例会 パペットシアターゆめみトランク『BUDORi』 | もんぶらんのひとりごとぷらす

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ぷらす、子育てサークルとして活動してきた子ども劇場、子どもは、大きくなりましたが、まだまだ楽しませてもらっています。例会のことも書いていこうと思います。

2024年3月20日(水祝)浜松子ども劇場高学年部例会 パペットシアターゆめみトランク『BUDORi』(ブドリ)の公演が浜松市立青少年の家ホールにて開催されました。



「ブドリ」とは、宮澤賢治作品の『グスコーブドリの伝記』の主人公「ブドリ」です。宮澤賢治と言えば『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』などの作品は、知っていましたが、『グスコーブドリの伝記』は読んだ覚えがなく、本を探すことから始めました。馴染みの本屋さんで、読みやすいものとして、アニメ映画化された原作本でマンガの『ますむらひろしのグスコーブドリの伝記』を教えていただき、まずは読んでみました。セリフひとつひとつが宮澤賢治の原作に忠実なので、噛み砕いて(理解しながら)読むのに少し時間がかかりました。また、絵本『グスコーブドリの伝記』がいくつかあることがわかりました。


挿絵がビーズなどの装飾で仕上げた誠に美しいデザインの清川あさみさんのもの(出版:リトル・モア)と文と絵が司修さんの冷害を思わせる青い色使いの挿絵のもの(出版:ポプラ社)です。また、他にはアニメ映画版の本(出版:理論社)もありました。その中で清川あさみさんの挿絵の絵本の中古本を探して取り寄せました。マンガ版を読んでいたので、復習するような形で読むことができました。

このようにして「ブドリ」を知ったうえで、ゆめみトランクさんの『BUDORi』を楽しむことにしました。



劇場の子どもたちは、看板作りに取り組んだり、劇団さんへのプレゼント作りをしたりして、この日を待っていました。



この作品の人形は、チェコ在住の人形劇師、沢則行さんのデザインされたものをチェコの工房Václav Kréal(ヴァーツラフ·クレアル)で制作されたそうで、ブドリと妹のネリ、大きくなったブドリと3体とも木でできた操り人形で、大変独特な雰囲気の誠に神秘的な人形でした。劇中、ブドリが手足を大きなものに交換するという予想外の事があったり(今、思えば成長の過程だったのかも…)、お腹の部分が外れて、小物入れのように小道具(劇中では野いちごだったかと…)を入れたりできることに驚きました。
演者は、人形を操るゆめみトランク代表で脚本、演出も手掛けるゆみだてさとこさん、俳優の桑原博之さんのお二人です。
ネタバラシになってしまいますが、最初、ゆみだてさんがブドリとネリを操りながらふたりの声も出していて、そういう想像していなかったので、ちょっとびっくりしました。その後、桑原さんがお父さん役を、ゆみだてさんがお母さん役をやったこともまた、想像していませんでした。
この人形以外の登場人物には、人さらい、テグス工場主、農家の主人や博士、火山局の技師などがいますが、人形劇だったことを忘れるほど、インパクトが強い被り物をして、人形と共演して、舞台を行き来する様子は、舞台劇と遜色ないなと思いました。
また、OHPによって、背景に映し出された草木には物悲しい森の様子を感じたし、オリザという作物の病気が蔓延 したシーンでは、水を使っての表現で、色水が映し出されたのには、ちょっと驚きましたし、臨場感が溢れていて、素晴らしいと思いました。

こんな至近距離で、観客と演者と同じ目線で見られる平土間で行われるからこその贅沢な時間です。



ストーリーに戻ります。
いろんな困難を乗り越えてブドリは、困っている人のため、研究したりして良いことをしても、中にはよく思わない人もいて…全ての人を幸せにするって難しいですね、改めて感じました。
最後に、みんなのためにブドリは、身を挺します。詳しい説明もない幕引きの演出に、物語の結末を知っているはずなのに、やっぱり複雑な気持ちになりました。他の方法がなかったのか?まあ、これは作者の宮澤賢治に言わなくちゃいけない事かも知れませんが。