時は昼休み、学校の生徒が授業中に溜まった鬱憤を一気に吐き出す中で彼だけは机に頭を垂れていた。
そんな彼を気遣ったのは自分と彼のお弁当を持ったユウコだった。
「どうかしたの?」
「少し寝不足で。」
シロウはそのあともあの夢を何度も何度も見ていた、その度に目を醒ましては奇妙な感覚を味わった。
夢を見た回数が二桁になった時、既に夜は明けていた。
リプレイされるその夢は始まりから終わりまで一片の差異もなく同じであることに彼は薄気味悪さを感じた。
「それにしてもバンパイアはないな。」
「は?バンパイア?」
何を言うかと疑惑の目を向けるユウコにシロウは説明しようかと一旦は思うものの言えば彼女の顔は今よりも更に歪ませるだろう。
「なんでもない、」
「そう?でも無理しないでね?はい、お弁当。」
「うん、ありがとう。」
「そうだぞお、ユウコちゃんを困らせるなよぉ。シロウお坊ちゃん、」
いつの間にかシロウの後ろにケンイチが立っていた。
そしてシロウが持っていたユウコからのお弁当をつまみ食いした。
「ちょっと、」
「えぇやん?ちょっとだけだしぃ。」
「もう、シロウの物なのに。」
「いいよ、こんなには食べれないから。」
そうなの、とユウコは少しだけ残念そうな表情を浮かべた。
「それでぇ、何の話ぃ?」
「いや、あの。」
「バンパイアがどうのこうの言っていたわよね?」
ユウコが言うとケンイチもまた不思議そうな表情を浮かべた。
「どういう事ぉ?」
「さぁアタシも少ししか聞いてないから、」
目を合わせていたユウコとケンイチが同時にシロウへと目標を変えた。
「どういう事なの?」
「教えてくりゃんせ?」
二人の顔が同じ意地悪な表情をしているように見えた。