小説「流浪の月」感想 | 杢ログ-Mokulog-

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作者さんが羽生結弦さんをお好きらしい…という話を聞いて購入。

そんな動機ではあったのですが…

 

め~~~~~~~~~っちゃ良かった!!!

 

お風呂のお供だったんですけど、めっちゃ良かった。

読み過ぎて何回かのぼせかけた。

 

あらすじは検索して下さい。ぐぐれば出て来ますので。

 

愛の話…と言えばそうなんですけど、これは愛かどうかと言えば愛と呼ぶほど清らかではないし無欲ではない。

けれど決してこれは恋ではない。愛でも恋でもない。

解説で出て来た「運命の糸をたぐり寄せたのではなく、命綱を握り合った」という単語がぴったり。

 

いやこれなんて感想書こう。あまりに良すぎて「めっちゃ良かった」しか出て来ない。

刺さり過ぎて語彙力が出て来ない。それくらいすごい良かった。

 

物語もそうなんですけど「小説」という媒体で読んで大当たりだった。

挿絵が一切ない、文字だけで綴られる人物像と物語。

視認できる情報がぼやけているからこそ、より良かった。

映画を観る予定はないです。私は小説だけでいい。

 

再会するまでに文と更紗はそれぞれいわゆる「世間一般」の生活をしているわけですけど、それが噛み合ってなくて「普通の生活」をしている筈なのに息苦しそうな描写が、妙にリアルで「ああ、あるある」と思えてしまう。

優しいのは分かるけど、悪気があるわけじゃないのもわかるけど、でも「そう」じゃないの、という感覚。

その通過点があるのがとても良かった。

それらを経て「やっぱり自分はここに辿り着く」という結末だらこそ響く。

 

文と更紗の関係が、すごい、すごい、もうとにかくすごく良かった。

正直私はこの二人の在り方にすごく憧れる。

共依存と言えばそれまでなのかもしれないけど、文と更紗は一緒にいる事が一番の「自由」で。

二人の関係を言い表す言葉はこの世のどこにもない。

パートナーというのも違うのだ。二人は友達でも恋人でも夫婦でもない。

 

この二人をまとめて呼ぶ単語はこの世のどこにも存在しない。

だからこの二人は自由で不自由で、何処にも何処までも行ける。

 

「文と更紗」はただただ「文と更紗」なのだ。