J.シュトラウスII
皇帝円舞曲Op.437
シェーンベルク
浄められた夜Op.4
メンデルスゾーン
交響曲第3番イ短調Op.56「スコットランド」
指揮:マックス・ポンマー
第1コンサートマスター:﨑谷 直人
本日は雨模様。
しかも寒い。
蛇足ながら最近お出かけする日の雨率高し。
むかしは、晴女だったのに…
雨女(雨婆の方が正しいかもw)に変わったのかしら。
こんな日は家でぬくぬくまったりしたいものですが、チケットもあるので、冷たい雨の中、横浜までお出かけしてきました。
今日のコンサートは、札響の首席指揮者でもあるドイツの名匠マックス・ポンマーさんが神奈川フィルへの客演。
曲目は上記のとおり、ポンマーさんお得意の独墺系。
また今日は、ソヒエフN響の「イワン雷帝」、インキネン日本フィルの「ブル5」など他にも聴きたいコンサートが‼
正直、今回の神奈川フィル曲目が地味なので、チケットは無駄になるけど、ソヒエフかインキネンの方へ鞍替えしようかと前日まで悩んでいたのですが、結局「まぁいいか」の軽いノリで結局神奈川フィルへ。
しかし、これが大正解‼
ソヒエフやインキネンを振ってまで来た甲斐のある素晴らしい演奏会でした。
今年81歳(1936年生まれ)のポンマーさん
指揮姿は、まるで熊(Bear)みたい(笑)…
オーバーアクションなどなく、シンプルな棒さばき。
しかし、そんなシンプルな指揮から想像もできないほど、神奈川フィルから紡ぎだす音色の色濃さは、本当にすごい‼
1曲目の「皇帝円舞曲」から堂々としかも威厳を感じる素晴らしい演奏。
1曲目の小品は、オケ慣らしとかよく言われるけど、まったくそんな感じはせず、ワルツというよりまるで交響詩でも聴くような壮大さ。1曲目からポンマーマジックにかかり、「今日はすごい演奏に出会えるかも‼」って予感が。
神奈川フィルも金管と打楽器群に多少の荒ぽっさを感じるとこもあったけど、概ね好演(山本さんのチェロソロは、相変わらず素敵でした)。
ポンマーさんは、札響ともこの曲を演奏し、そのライブ音源も出ているけど、お得意の1曲なのかしら。
「皇帝円舞曲」でこんな感動したのは久しぶりでした。
2曲目の「浄められた夜」(通称浄夜)は、正直よくわからないというか苦手な曲。
大抵始まって数分間で(。-ω-)zzz
シェーンベルクの作品の中でもまだ調性はあると言っても、親しみやすいメロディがある訳でもなく、30分に満たない作品ながら全曲聴きとおすのは個人的にはかなり苦痛。
そんな訳で今回も寝るだろうなぁと思いつつ聴き始めたのですが、弦楽器の雄弁な音色や各パートが分散された響きの面白さなど、曲が進むにつれどんどん引き込まれ、気が付いたら全曲終わっていたくらいこの曲に集中でき、びっくり‼
ポンマーさんの指揮が巧みなのは無論ですが、それに応える神奈川フィルの弦楽アンサンブルの超絶的な演奏があったからこそ、この曲をはじめて面白く聴けたような気がします。
改めて神奈川フィルの弦楽セッションの素晴らしさを実感。
但し、この曲を理解していないので、名演だったかどうかといわれると答えに窮すのですが、休憩中、会場で、コンサート通と思し召し、男性の会話で「今日の浄夜、すごくよかったよ」「ロマンテック濃厚になりがちな浄夜を各パートがスッキリ浮かび上がらせ、透明感高く演奏したポンマーはすごいね」「指揮台に置いてあったスコアも赤い書き込みだらけだったよ」「坂入さん(ユゲント・フィルの若き指揮者)のブログでリハがすごくよかったと書いてあったので、イワン雷帝捨てて来たけど、来た甲斐あったよ」「これは後半のスコットランドも楽しみだね」などなど称賛の嵐だったので、客観的に見て今日の浄夜は、かなりクオリティの高い名演だったと思います。
まったく演奏とは関係ないのですが、浄夜を作曲する際、シェーンベルクがインスパイアされたデメールの詩の世界、おなかに身ごもった子どもが別の男性の子で、それを男性が許し、この夜に浄められたとし、自分の子として出産して欲しいって内容は、正直この曲から想像できず(笑)
どちらかと言えば泉鏡花の「高野聖」の妖艶で神秘的な世界の方がこの曲のイメージに個人的には近いかも。
また、ひねくれもののもくさんは、デメールの原作に…男はあの夜、妻になる女を許し、身ごもった子を自分の子として出産させたけど、その子が男の子でもちろん自分に似る訳もなく、年月が経つにつれて、過去妻が愛したかも知れない男に似てると思うと嫉妬の炎に狂いそうになり、またその男の子を愛す妻にも嫉妬と憎悪を感じ、ある夜、狂気を押さえることができず、妻と子を殺める…血塗られた夜…って後日談を想像しちゃい、シェーンベルクの音楽もそちらの方が合ってるような気がします。
(-ω-;)ウーン
なんか心病んでるなぁ…
後半のスコットランドは、
第1楽章の荘厳な序奏から神奈川フィルの弦や木管の響きが濃厚。
主部に入ってからの活き活き感は、81歳の老匠が指揮しているとは思えないくらい。
第2楽章のスピード感(クラリネットの齋藤さんが相変わらず素晴らしい)
(終演後、たまたまロビーで見かけた齋藤さんとお話することができ、伺ったところ、ともかく早くてついて行くのが大変だったそうです)
第3楽章の幽玄さ。
フィナーレの堂々たる演奏。
巨匠クレンペラーが嫌ったフィナーレのコーダも今日みたいな立派な演奏で聴くと蛇足感はなく、このコーダあってこそ大円団を迎えると感じお見事‼(因みにクレンペラーは、バイエルン放送響と演奏の際、このコーダを大胆にカットし、自作のコーダと付けるという荒業的な演奏あり)
ポンマーさんの飾らず的確な指揮。
それに応え献身的な演奏をした神奈川フィル。
12型と比較的小さな編成にも関わらず、厚みを感じさせ雄弁に響く弦楽セクション、相変わらず美しく響く木管セクション、いつも鬼太鼓状態のティンパニの神戸さんも今回は大人しめながら決めるとこは、決め╭( ・ㅂ・)و グッ !
首席豊田さんをはじめとするホルンセクションは、普通。
唯一残念だったのは、終始トランペットに美感を欠いたこと。
でもそれすら帳消しなる名演だったと個人的には擁護。
すべての音が有機的響き、ロビーで会話していた男性の言ったとおりになった素晴らしい演奏でした。
なお、スコットランド交響曲は、前週神奈川フィルシェフの川瀬さんが、客演でシティフィルで指揮したのもたまたま??
そのあたりの事情を機会があれば川瀬さんに聞いてみたいものです。
また、みなとみらいホールでは12月にデュトワN響がスコットランド演奏するので(サントリー定期と同一プロ)、ドイツ音楽を得意とするN響と色彩感豊かなデュトワの組み合わせも気になるところ。
今日のコンサートは、ロビーコンサートもあり。
先週のNJPの時にロビーコンサートを聴かなかった悔しさもあり、今回早めに会場に着く予定でしたが、東海道線の遅れがあり、コンコルドの後半からとなりましたが、カプースチンともども滅多に聴けない曲をロビーコンサートに持ってくるのは有難いし(プログラム的にもシェーンベルクから繋がるので関連性もあり)、ロビーコンサートは思えないくらいクオリティの高い演奏でこちらも満足。
桜田悟(Vn)久米浩介(Vn)高野香子(Va)長南牧人(Vc)
コルンゴルト/弦楽四重奏曲第2番変ホ長調Op.26より第2楽章
カプースチン/弦楽四重奏曲第1番Op.88より第3楽章
2回客席ホワイエにて。
神奈川フィルの定演は、主に邦人指揮者陣が中心で、海外からの招聘組が数少ないのは、予算の関係かしら??
ゲッツェルさんが首席客演を退き、本seasonは、6月のウォンさんと今回のポンマーさんのみとは、ちょっと寂しいような気がします。
それはともかく、旧東独出身で、故スイトナーにも通じるドイツ正統派指揮者のポンマーさんの演奏を実演で体験できた幸せと、全プロを通じ、心に染みる素敵な演奏に、終演後もポンマーさんと神奈川フィルの紡ぎ出す音色の余韻が残る大満足のコンサートでした♪
2月ポンマーさんと札響の東京公演で披露する名曲中の名曲、ベートーヴェンの運命と田園♪
今日のポンマーさんと神奈川フィルの演奏を聴くと名演になる可能性高そうな予感♪
2017.11.18(SAT)【ミッキーの誕生日】
14:00
横浜みなとみらいホール 大ホール