日産がアルコールを燃料とした燃料電池車の開発をしているという記事を読んだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/264450/062000037/
この記事はアルコールを燃料にすることの課題やメリット、そしてそれに付随するトヨタやホンダの燃料電池車(以後、FCVと略す)との相違点をわかりやすくまとめていると思う。
ちなみに
Fuel
Cell
electronic
Viecle
の略である。
念のため補足しておくと燃料電池車というのは燃料電池というもので発電してその電気を使ってモーターを動かして走る。いわば電気自動車の1種で有り、電池に蓄えた電気を使って走るだけのものと違い、車両に搭載した燃料電池システムを使って発電して電気を供給できるので航続距離が伸びるとか、充電スタンドで何時間も待たなくていいというところが違う。
そして燃料電池というものは水素を供給することで酸素と化学反応させることで電気を発生するものなのだ。
現在販売中?のトヨタ車とホンダ車は水素ガスをボンベに充填して燃料電池スタックへ水素を供給するタイプだ。上記の記事でも指摘されているように気体の水素は可搬性が悪い上にボンベの強度要求から来る形状的制約のためにスペース効率も悪い。
おまけに充填するためのインフラが無いだけではく、充填装置そのものも複雑化する傾向がある。
インフラに関してだけ言えば日産リーフや三菱アウトランダーのような純粋な電気自動車の方が「充電スタンド」でまかなえる分遙かに普及させやすい。実際、充電スタンドは数年前に比べればかなり増えてきたように感じる。
話を上記の日産のものに戻す。日産のFCVの一番の特徴はアルコール燃料、すなわち液体を使用することにある。それによって充填インフラや可搬性の問題を一気に解決できる。また車両のスペース効率という問題もかなり改善できる可能性がある。
ただし、いいことばかりでは無い。
トヨタ、ホンダとは少し違うタイプの燃料電池を使用しているのだが、基本的に水素を燃料として酸素と化学反応させる過程で発生する電気でモーターを駆動するという点に置いては同じである。
だが、発電のための燃料電池のほかに、アルコールから水素を分解して取り出すための「改質器」というものがさらに必要となる。以前読んだ記事ではこれが結構なお値段となるらしい。また、余計なものを車両に搭載する関係でスペース的には苦しくなる。いくら液体燃料であるが故にタンクの形状自由度が上がってもプラスマイナスの合計がプラスになるのかマイナスになるのか・・・・??
さらにもっと大事なのは環境への影響だ。
もともとオイラはFCVにはかなり懐疑的だ。
記事中でも指摘されているが水素をつくりだすために費やすエネルギーを考慮すると本当にエコなものにはなり得ないと思って居るからだ。現在の技術ではという制約付きだが。
それに輪をかけて、今度はアルコール燃料だという。アルコールの化学式には必ず炭素が含まれる。従って水素を取り出した際の成分中に炭素も存在し、それも含めて燃料電池で化学反応させると言うことは、
2H2+O2=2H2O
C+O2=CO2
ということになり、水のほかにCO2も排出してしまうのだ。
そう、自称「エコ」な知識人たちが忌み嫌う二酸化炭素だ。
こうして二酸化炭素を放出するにもかかわらず、アルコール燃料のFCVがエコだと言い張るのは下記の屁理屈による。
植物由来の原料をエネルギー源とする場合にエネルギー発生過程で放出する二酸化炭素は、原料となる植物が生長する過程で吸収した二酸化炭素と相殺するから、環境保全の意味では「カーボンニュートラル」なのだ・・・
ということだ。
この論法はずいぶん昔からある。
でもオイラの印象としては胡散臭さをぬぐいきれない。なんかうまくだまされている気がするのだ。
もっとも水素を使って走る燃料電池車だって、その水素の生成過程でどれだけのエネルギーを消費しているかを論じられるマスコミは少ないし、純粋な電気自動車にしてもそうだ。自宅で充電出来るとしているがその電気を作るために発電所でどれだけのエネルギーを消費しているかを冷静に評価する記事はまれにしか見ない。
Well to Wheel
油田から車輪まで
この視点で車というものを考えたとき、オイラは究極はやはり電気自動車(EV=Electrin Viecle)なのかなと思う。
ただし、今現在、そして近未来のインフラ、技術革新などを踏まえて一番現実的なのが
レンジエクステンダーとキャパシタを備えたEV
だと考えている。
EVについては説明は不要だろう。電気でモーターを回してタイヤを動かす。もちろんモーターをいかに高効率にするかという永遠の課題はつきまとう。
問題は車両に積み込める電気の量などたかがしれていると言うこと。いわゆる電池の技術も飛躍的に進歩しているようだが、それにしても重量、大きさ、容量、そしてお値段のバランスで行くとまだまだ大きな容量のものを車両に搭載するのは難しい。
そこでレンジエクステンダーの登場だ。
レンジエクステンダー=走行距離を伸ばすもの
わかりやすくひと言で言い切るならば、今の話の場合は、
レンジエクステンダー=発電機
と理解してくれればいい。
発電機で必要なときに電気を作り、一時的に電池に蓄える。その電池には充放電の効率が高いキャパシタを使う。それでも足りない電池容量は通常の電池に頼らざるを得ないかもしれない。
今普通に売っているハイブリッド車だって回生ブレーキと言ってブレーキの力で発電機を回し、一時的に電気を蓄えて走行する力に振り分けている。
そしてその発電機をいかに効率よく動かすかである。発電するために燃料電池を使うのナンセンスだ。アルコールでもガソリンでもいいがいわゆるエンジン(=内燃機関)を使うのが現実的だろう。
発電のためだけの運転だからもっとも効率がいい条件で運転すればいい。
今、世の中にある自動車用エンジンでの最大熱効率は30%台後半から40%位だろう。ディーゼルエンジンならばもう少し行くかもしれない。いずれにしてもそのもっとも効率のいい条件下でのみ、運転をすることで最大の効果が得られると思う。
ま、そんなに簡単にはいかないから各社、いろんな技術でしのぎを削っているのだろうけどね。
あ、最近はモータースポーツの世界にもEVはあるけど、オイラは今のところあまり興味ないかなぁ。乗り味、楽しさという視点で乗り物を捉えたときにモーターで駆動するのってどうなのよという感じではある。
別にエンジンの鼓動が・・・なんて手垢のついた台詞を吐くつもりは無いのだが、オイラは基本的にコンサバなのだ。(苦笑)
トレンドリーダーでは無く、フォロワーなのだ。
ま、そんなところだ。メカおたくの世迷い言だと思って聞き流してくれたまえ。
逆に、何が書いてあるのか全く理解できないという人は、きわめて標準的な人だということなので安心して良い。バキッ!!(-_-)=○()゜O゜)アウッ!