思い込みの恐ろしさ | 木馬の四方山ばなし

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趣味の話や日々の出来事を中心に何となく、自己満足のためにつづっていくブログです。

初心者、初級者の頃というのはなんでも上級者が使っている道具にあこがれるものである。

上級者が使っている=すばらしいもの

この方程式が無意識のうちにすり込まれているんだよな-。(苦笑)
だが、自分なりにそこそこ経験を積んでくると必ずしもそうでばかりもないことも学んでくる。
そんな切り口で今日はまず
スキー関連
のことを書いてみよう。。。

大昔・・・サロモンがスキーブーツにリアエントリー、そしてスキーにキャップスキーという革命を起こし、世界的にスキーブームが到来していた頃の話。
日本もバブルの時代と重なったこともあり、毎週末スキー場へ行こうにも道路は大渋滞。スキー場は真夏の湘南海岸状態・・・・

まだまだ初級者だったあの頃、あえてフロントバックル、それも5バックルなんてのを履いているのはまさに上級者の証だった。
スキーもそうだ。上級者の証は何はともあれ2メートルの長さのスキーを履くことだった。
あるいは基礎スキー系では、小賀坂のユニティ、それも「3」を履くのが上級者たるものの標準的な姿でもあった。

かつてはそんな上級者のイメージにあこがれて、オイラも小賀坂ユニティ3も履いたし、ロシニョールの4S(しかも2メーターっ!!)も履いたものだ。(´ー`)┌フッ

最近は競技をやることもあり、ワールドカップで勝ったり、表彰台に上がる機会の多いブランドが気になったりする。今季はヒルシャーのアトミックが勢いを取り戻してきたが、昨季まではテッド・リゲティの活躍に象徴されるようにヘッドスキーが常勝だった。
だが、既に数年前だがヘッドを試乗したときに
オイラには扱いきれない・・・・orz
と感じたものだ。
仮に市販モデルがトップ選手が使っているものとほぼ同じものだとした場合、技術はもちろんのこと、土台となるフィジカルレベルが圧倒的に違うトップアスリートと飲んだくれパンピーレーサーが同じスキーを履いて結果を出せるわけがないのだ。(爆)
スキーの走りを生み出すには、強い筋力と優れた技術できちんとたわみを作らない限り、スキーは限りなくまっすぐ行きたがるのは当たり前の話なのだ。
スキーに関してはその点をわきまえて一応選んでいるつもりだ。

オイラも含めて友人たちに割と広く受け入れられているのがフィッシャーやロシニョールだろう。ロシもボディ・ミラーが全盛の頃にはけっこう流行ったけど最近は履いてみて本当に気に入った人が使い続けている感じだ。

同じような話はスキーブーツにもある。
今はフロントバックルタイプのブーツしか見かけなくなったし、ぱっと見はどこのものもほとんど同じなので、シェルの形状(幅とか甲のたかさなど)が足に合うかどうかを優先して選ぶ人が多いようだ。
そんな中、競技をやる人間にとっては
シェル高度
硬い方がエラいという暗黙のイメージがあるようだ。オイラがまさにそうだったように。(苦笑)

ブーツブランドが変わった場合には同じ数値でも硬さが多少違うとは思うが、一般的に手に入る一番硬いブーツは「150」というものだ。数値が大きいものほど硬い。
一般男性向けのモデルでいうとゲレンデスキー用の楽ちんモデルで「100」くらい。モーグルとかの前後の動きが必要な上級モデルで110~130くらいかな・・・
オイラは昨シーズンまでは150を履いていた。だが、今年からは130を履いている。ようやくイメージの呪縛からは溶けたというわけだ。(苦笑)
硬いということはそれだけすべてがタイトなわけで、正しい操作をすれば「遊びがない」分、スキーに100%力が伝わる。だが、遊びがない故にミスに対する許容度が低く、難しいとも言える。
その点、硬さランクを少し下げると、ミスにも寛容となり、ポールセットを1本滑りきるトータルでの性能でいうとピークパワーは少し劣ってもミスしにくく、ミスをしてもリカバリーしやすく、平均点として高い性能を発揮できる傾向となる。
もちろん、硬さだけでブーツ性能を語れるものではないのだが、あくまで一般論というか、定性的な話だと理解して欲しい。

まあ、そんなこんなで今年はドーベルマンの130を履いている。
春にこれを作る際に懇意にしているブーツショップに
「150じゃなく、130にしましょう」
と薦められた。(^_^;

正直、え、かっちょわるい・・・・なんて気持ちがなかったわけではないのだが、2回も続けて怪我をしたこともあり、そこは大人の判断をしたわけだ。
あくまでも受動的な大人の判断だった点には突っ込まないで欲しい。(^_^;

そのブーツを履いて今シーズン滑り込んでいる。現在の滑走日数は12日。マテリアルにも完全に慣れた。脚の回復も順調で、既報の様にようやくゲートトレーニングも出来るところまで来た。(^_^)v

そんなわけで「大人の選択」である、このブーツのインプレッション。
結論から言うと、このブーツはすごくいい。このフィーリングが硬さから来ているのか、昨年まで履いていたラングとの違いから来るのか、あるいは両方の影響なのかは不明だが、とにかく良いのだ。硬いとか柔らかいという感覚での違和感はなく、その意味では全く意識せずに履けている。(^_^)v
では、なにが良いのかというとスキーを踏み込んでいくといともたやすく走りを引き出せる点が良いのだ。ターンマキシマムから次のゲートに向けて開放し始めるとしなやかにしなっていたブーツが戻る力がスキーの反力とシンクロしてグンと走るのだ。うかうかしていると体がおいて行かれそうになる。(^_^;

イメージとしてはブーツのたわみを開放するためにスキーを前に抜くというか、加重点を瞬間的にかかとに移すというべきか・・・・
いや、かかとに移すというのは少し違うかな。。。
マキシマムを過ぎて体とスキーをクロスオーバーさせる時に、それまでたわませていたスキーの反発力を逆らわずに開放するイメージかな。
このときに体をクロスオーバーさせる方向が悪いとかかとに乗ってしまってすっぽ抜けたり、次のターンでブレーキがかかってしまったりする感じ。
オイラのレベルではとてもではないが急斜面ではこのフィーリングは引き出せない。(^_^;
少々ずらし回してでもラインを高くキープするのが精一杯だ。だが中斜面ならばだいぶ余裕が出るので、マキシマムでの外足加重を意識して上記のような動きを引き出せる(・・・・こともある)。。。。(^_^;
但し、中斜面とは言え、きちんと先を見ていないとセットの変化に対応できず結局ラインがあふれてしまいタイムロスをするんだが。
バキッ!!(-_-)=○()゜O゜)アウッ! 

スキーというのは基本的に落下するだけの運動であり加速するための動力は存在しないから一度失速すると取り返すのはほぼ無理。累積するように1度の失敗がタイムロスを生み、失速してしまうとそのまま最後まで遅いままの速度でタイムロスを積み上げていくということになる。唯一、スキーやブーツのたわみを上手く使えば加速はほとんどしないが減速を最小限にすることはできる。

まあ、ダラダラと書いてきたがいずれにしてもマテリアルの持つフィーリングとオイラの滑走フィーリングがだいぶシンクロしてきたと言うことだ。

ブーツに関する思い込みという意味で、ついでにもう一つ。
草レーサーの間ではブールソールの下にプレートを取り付けるのが流行った時期がある。高いレベルの公式戦に出る人はいろいろ決まりがあるのでなにもしていないと思うが、草レーサーは何でもありなのだ。要するにブーツを上げ底することでエッジグリップをよくしようというものなのだ。
運動力学的には上手く説明できない。理系の端くれのつもりだが技術的にはオイラも納得はできていない。
・・・・だがフィーリング上は確かに効果がある(ように感じた)

昨年までのラングは右足5mm、左足3mmの上げ底をしてあったが、そのブーツに履き替えたシーズンはいいフィーリングだったのをおぼえている。
だが、今年の上げ底をしていないブーツでも何ら変わることはないところを見ると、これもまた都市伝説のひとつだったようだ。
少なくともオイラのレベルでは・・・・(苦笑)

ちなみに上げ底をしてあると足裏から遠いところにスキーソールが来るのでたとえば横から足を払うような力を食らった場合には足への負荷が高まる。
竹馬に乗っている時を想像してもらえば良いかもしれない。
今どきの若い子は竹馬なんて乗ったことないか・・・・(爆)
それ故に公式戦レベルではブーツソールからかかとの収まる面までの高さが○○mm以下という風に決まっているのだ。脚に過剰な負荷がかかるのを防ぐためだ。選手の安全を考えてのことである。

オイラも今のブーツにも上げ底したいなぁ~なんてはじめは思ったが、どうやら必要なさそうだ。それ以前に、怪我のリスクを考えたらやめておいた方がよさそう。(苦笑)