日経新聞の連載記事に私の履歴書というものがある。
著名な学者や作家、経営者が自分の半生を振り返って文章を綴っていく。1ヶ月間の連載だ。
現在、その欄で半生を振り返っているのはコメディアンの萩本欽一さんだ。
オイラ的にはこどもの頃、テレビで見たコント55号の人という印象も強いし、ラジオ番組の「欽ちゃんのどーんと、ほにゃらら」のイメージが強い。
後年、テレビでは関根勤さんや小堺一機さんなどを巻き込んでドタバタのお茶の間喜劇の番組もやっていた。番組名は忘れてしまったが。
今回の連載に辺り、冒頭で本人が書いていたのだが、日経のこの欄にコメディアンが登場するのは初めてらしい。
この欽ちゃんの連載が本当に面白い。
ものすごい苦労人なのだなとわかる話なのだが、語り口(というか文章)が少しも偉ぶるところが無くてむしろ軽妙なタッチで展開していくから、クスッとなってしまうのだ。もし我が身にそんなことが起きたら深刻な顔以外になにができるだろうと言える状況でも何とも危なっかしい足取りなんだけど結果的に対岸まで渡りきってしまうみたいな感じ。
そう、欽ちゃんが敬愛してやまなかった、チャーリー・チャップリンの動きを連想させる文章、そして実体験でもある。
浅草出身ということは何となく知っていたが、こどもの頃からの話を読むと欽ちゃんのひととなりがよく見えてくる。名をなしたあとも若手や後進の面倒見が良いという話はよく聞いていたが、やはり人間味のなせる業なんだなと納得する。高倉健さんや菅原文太さんが銀幕のスターならば、欽ちゃんは大衆娯楽のスターなのだ。
最近はテレビ自体をあまり見ないし、欽ちゃんの出る番組を見たのはもう何年も前のことであるが、いまい一度、人情喜劇をみたい気がする。
もうけっこうな年齢なのでコント55号のころのような体を張ったコントは無理だろうが・・・・