その昔、喜多嶋隆の「CFギャングシリーズ」というのを片っ端から読んだ時期があった。
平易な文章で読みやすい娯楽小説だ。
はっきり言って喜多嶋隆は、ちゃらい文章を特徴とするといっても良いかもしれない。
だが、しかめっ面をして読むような小説があまりスキではないボクにとっては、ま、(良い意味での)嗜好品と言ってもよい。
かつて高校、大学の頃、読みあさった、片岡義男に通ずるところがあるかもしれない。
その喜多嶋隆のCFギャングシリーズが少し新しくなって、ぽつぽつと発刊されている。
少し年をとり、以前ほど向こう見ずではなくなった主人公。
微妙に変化している点がおもしろい。
その喜多嶋隆の作品でふと店頭で手にとって買ってあった作品があった。どのシリーズにも属さない作品だ。
「君の愛が、ボクに降りそそいだ」
う~ん、タイトルからしてチャラい・・・・(笑)
週末の新幹線移動で読んでみた。
この作家の作品はいくつかのシリーズを読んでいるが、そのどれともちがう作風だった。
いや、文体は相変わらず、チャラい感じでさらっと読めるのだが、珍しく性的な描写がやけに克明だったりするのだ。
この人の作品では男女の性的関係を直接的に描写するようなシーンは一度として読んだことはなかったが、今回のものはちょっとちがった。
最近の著作のあとがきに必ず書いてあるが、著者が数年前から葉山に移り住み、趣味のつりに興じて居る中から、思いついたシークエンスをメインテーマとした作品だったようだ。
こんな感じの軽い小説がボクは好きだ。
最近はなかなか本を読む時間を作れない(作らない)が、たまには良いものだ。
読まずに積んである、固い本、軟らかい本がたくさんある。
冬場のスキーの合間にポツポツと読むとしよう。