今日のテーマは「リゾット」でも無ければ「リゾート」でもない。
ましてや「リア・ディソン」でもない。
さて、ここからが本題である。
エンジンおたくの本領発揮!!なのでわからない人は読み飛ばして欲しい。
先に行われたフランクフルトショーでベンツから発表された未来の高級ツーリングセダン『F700』
http://response.jp/issue/2007/0912/article99013_1.html
今週末から始まる東京モーターショーでも展示されるようだ。
http://car.nifty.com/cs/tms/detail/071017158619/1.htm
いろいろ、環境エコな装備が満載と言うことになっているが、自称「エンジンオタク」のボクがもっとも気になるのが「DIESOTTO」と名付けられた新エンジンである。
ディーゼル(DIESEL)とオットー(OTTO)を複合させた造語なのだろうが、そのメカニズムに関しては詳細は公表されていない。
1.8Lの燃料直噴とターボチャージャーを組み合わせた構造で、燃料はガソリンだが、ディーゼルエンジンと同じように自己着火させるらしい。
過給は2ステージで、自己着火は制御されているとのことだ。
DIESOTTOはスパークイグニッション・エンジンの高出力と、ディーゼル並のトルク、燃費とを両立させたという。
現行『Sクラス』の3.5リットルV6・NAガソリン、あるいは3.0リットルV6ターボディーゼルなみのパフォーマンスを発揮するとあるが、ボクの知識の範疇ではどのような機構&理屈になっているのが、まったく想像できない。
ガソリンエンジンでディーゼル並みのトルクを出すことはターボをつければ従来の技術でも簡単に実現できる。
しかし、ディーゼル並みの低燃費を得るのはなかなか難しい。
常識的な手法としては、
その1:リーンバーン
要するにガソリンをちょっとしか入れずにうす~い混合気で燃やすってこと。
その2:メカニカルロスの低減
機械摩擦を低減する。これはどのエンジンでも当たり前にやっていることなので、摩擦係数が驚くほど低くて熱タフネスや強度の高い素材でも新発見されない限り、それほど驚くものではないはずだ。
その3:ポンピングロスの低減と高圧縮比
ディーゼルとガソリンの根本的な違いは、ディーゼルはスロットルレスで出力をコントロールできる点と圧縮比が高い点である。
ざっくり考えて、エンジン単体でできることとしてボクが思いつくのは大きく分けて上記の3項目である。
その2に関しては、どのメーカー、どのエンジンでも大なり小なり、やっていることなので文字通り大同小異だろう。
したがって、残りの着眼点はその1とその3になる。
その1に関しては、SIエンジン(spark plug ignition engine)であれば、リーンバーン(希薄燃焼)エンジンは既に世の中にゴロゴロしている。しかしガソリンでの自己着火となるとまだ世の中には実用化されたものはない。
ホンダのCRM250Rに搭載されていた「AR燃焼」エンジンがやや近いが、あれも基本はSIエンジンであり、AR燃焼領域は極限られた範囲のみである。
大学や各エンジンメーカーではHCCI(homogeneous charge compression ignition:予混合圧縮自着火)などは盛んに研究されて居るが、直噴での研究事例はまだ少ない。
アプリリアの「DI-Tec」という2サイクル筒内直噴エンジンがあるが、これは普通のSIで有り、筒内直噴であると言うこと以上の珍しさはない。
残りはその3であるが、もしもディーゼルエンジンのようにノンスロットル運転が回転数、スロットル開度の全域に於いて実現されているとするならば、上記のガソリンでの自己着火技術と併せて、極めて画期的なエンジンとなる。
但し、詳細は一切発表していないところを見ると、まだまだ、FS(feasibility study:この場合は「実現可能性調査」と言ったらいいか・・・)の域を出ていないのだろう。
しかし、エンジンオタクとしては、想像しているだけで楽しくなってくる。
やっぱり、世界中のエンジニアが知恵を絞って技術力を競い合い、高めていくのは非常に興味深い。