今年の冬はもうあきらめていた。
年明けの寒波の時がベストショットだと思っていた。
春めいた日が続き、黄砂が飛んでくるようになればもう期待は出来ない。
しかし、今朝の富士山はこの冬で一番だった。
気温自体はそれほど寒くなった訳ではないが、冬型の気圧配置のおかげで北西の風がかなり強く、大気の状態も東京近辺にしてはかなり澄んだ方だと思う。
海沿いのいつもの通勤ルートを走り始めると、向かい風が強く、スクーターのスクリーンがものすごい勢いでゆがみ、折れるかと思ったほどである。
非力な単気筒250ccスクーターとは言え、いつもはメーター読みで100km/hは楽に超える。
しかし今日は、全開でも90km/hが精一杯だった。
そんな風の中、ふと見るとちゃんと麓までクリアに見える富士山が目の前にそびえていた。
今年の冬は何となく霞がかかったような富士山しか拝めなかったのだが、今朝はかなりクリアな方だろう。
手前に見えるベイブリッジもくっきりしていた。
冠雪のぐあいだけを見ていると、今年が暖冬&少雪の冬であることを忘れるくらい、いつもの富士山である。
しかし、遠くから眺めると変わっていないように思える富士山も麓まで行くとかなり変化しているようだ。
4年ほど前に10年ぶりくらいに富士山の林道をオフロードバイクで走りに行ったが、あまりの変わり振りに驚いた。
まずは山麓周辺を囲むようにあった林道がほとんど無くなり、代わりに立派な舗装路がある。
交通量などほとんど無い広域農道のようなところまで、それはそれは素晴らしい舗装路になっているのである。
山梨県って観光資源に恵まれているから、税金が余っているのかな?なんて思ってしまったくらいだ。
更に樹海の中を登っていく林道にはことごとく入れないように頑丈な柵が作られていた。
以前は、ジープタイプの4輪が入り込み、随分樹海を荒らしていると問題になっていたが、その対策だろうか?
4輪は無理だが、2輪ならば脇から入り込めたので途中まで行ってみたが、今度は全く人の手が入らない状態で放置されているので、もともと崩れやすい火山灰の道がほとんど形が無くなり、道の真ん中には雨水が通ったあとの深い溝だけがあるような有様。
さすがに2輪といえどもそう簡単には通れないほど荒れ果てていた。
いくら登山道を整備して、トイレを設置したりしても、もともと崩れやすい火山灰の山である。近くで見ると美観とは言い難い。
世界遺産登録への道は相当険しいと言わざるを得ない。
少々残念だが、やはり、遠くから眺めるのが一番と言うところか。
