木漏れ日が射し込む極楽寺駅 のホームから、鎌倉行き列車は出発した。
列車はすぐさま、江ノ電唯一のトンネルに入る。
意外と長く感じるこの「極楽寺トンネル」を抜けると、車窓は緑色中心の景色から、住宅街を映し出す景色に徐々に変わってくる。
列車はポイントを発見すると減速した。もう隣の駅に着いたようだ。
「長谷(はせ)駅」
相対式ホーム2面2線を有する有人駅で、殆どの列車はこの駅で交換待ちが行われる。
ホーム間の移動は構内踏切を使用する。
駅員が常駐し、改札には江ノ島駅 と同様、自動改札機が設置されている。
ということは、この駅も利用客が多数いるという事を物語っている。
それもその筈で、駅の周辺には駅名にもなっている「長谷寺」、そして鎌倉大仏を本尊とする「高徳院」といった著名な観光スポットがいくつが存在する。
折角なので私も、大仏の姿くらいは拝んでおこうかと考えていた。
しかし駅を出た瞬間、おびただしい数の人が駅前を往来する場面を見てしまった。
人混みを極端に毛嫌う私は、このシーンを見て一気に高徳院に行く気が失せてしまった。
大仏の参拝が今回の旅の目的の1つであったのだが、この人混みをかき分けてまで目的を達成したいとは思わない。
江ノ電もなかを手に入れ、湘南の海を思う存分望み、全駅下車達成も目前まで来ている。
申し訳ないが大仏との面会は次の機会にさせて頂いた。

人が多くて駅の観察もままならない状態で、次の鎌倉行き列車が来てしまった。
列車からは多くの人が下車し、その後に多くの人が乗車した。
不完全燃焼極まりない状態で、長谷駅を後にする。
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