2011年9月23日 午前10時
私は桐生駅の4番線ホームに立っていた。
先週の土日は、イベント列車にも乗れたりしたが、とにかく駅スタンプを集めるのに必死だった。
薄い群馬県内の鉄道ダイヤグラムの中、よくここまで頑張れたと思う。
今日明日は、自分が気に入った路線を十分に堪能しながら、有終の美を飾りたい。
今日この桐生駅4番線ホームにいるのには理由がある。
お目当ては、「わたらせ渓谷鐡道」のイベントトロッコ列車「わ鐡のわっしー号」だ。
わ鐡は、先週一度も乗車していない。今日1日は、わ鐡をゆっくり楽しむ予定だ。
わ鐡のトロッコ列車と言えば、通常は大間々駅の0番線が始点となるが、このイベントトロッコ列車はわざわざ桐生駅まで乗客を出向いてくれる。
さらに普通であれば乗車券のほかに整理券を購入しないとトロッコ列車には乗れないのだが、このイベントトロッコ列車は乗車券だけで乗車できる。
ただし、
「ぐんまワンデーパスSP/ツーデーパスSP」では、この列車には乗車できないとの事。
既に今回分の「ぐんまツーデーパスSP」を購入していたのだが…
仕方なく、スタンプの置いてある駅「通洞(つうどう)」までの乗車券を購入した。
列車が入線する前から、ホームには長蛇の列ができていた。
みんな、「わ鐡のわっしー号」を待っている。
待つこと数十分。
ようやく、ディーゼル機関車の代表格、DE10に牽引されたトロッコ車両が4番線に入線してきた。
4番線は通常はJR両毛線のホームで、本来のわ鐡のホームは1番線になる。
今日はイベント列車の為にJRがホームを開放してくれているのだろうか?
DE10は 赤色ではなく、わ鐡のイメージ、銅(あかがね)色に塗装されたものであった。
ヘッドマークには、わ鐡のイメージキャラクター「わ鐡のわっしー」が描かれている。
到着した列車から「わ鐡のわっしー」が降りてきて、乗客をお出迎えする姿も見られた。
このトロッコ列車、4両編成でそのうち窓の無いトロッコの車両が2両。あとの2両は通常の車両となっている。
トロッコ車両に乗りたいのはやまやまだが、今日は溢れんばかりの家族連れがいる。
一人の私はトロッコ車両を家族連れに譲り、一番後ろの、普通の車両へ乗り込む事にした。
少々悔いが残る瞬間だ。
前回のわ鐡の旅
同様、私は進行方向右側のクロスシートを陣取った。
発車を待っていると、車内販売が回ってきた。
品物を見ると、前回のわ鐡の旅から気になっていた「トロッコ弁当」が販売されていたので、一つ買っておいた(900円)。
車内で「トロッコ列車」と「わ鐡のわっしー」の2つのスタンプを手に入れる。
10時48分
わ鐡のわっしー号はほぼ満員状態となり、足尾へ向けて出発した。
列車は非常にゆっくりしたペースで進んでゆく。
トロッコ車両のように窓を全開にしてみる。
良い天候にも恵まれ、車窓の流れもとても穏やかだ。
大間々駅を出発した後は、お約束のように、進行方向右側に渡良瀬川の美しい渓谷が姿を現してくる。
しかし今日は川が増水しているようだ。
草木ダムの放流でも行われているのだろうか?
車窓の景色を写真に収めていて気付いたのだが、一番後ろの車両と言うのは、少しいいことがある。
カーブを移動している時に、先頭の車両が撮れて、なかなか良い絵になる事だ。
わ鐵沿線はカーブが非常に多いため、幾度となくシャッターチャンスが訪れる。
さて、そろそろ弁当を食べることにしてみよう。
弁当は、山菜ごはん、そして食材に山の幸がふんだんに使われている。
あまりの美味しさの為、あっというまに完食してしまった。
渡良瀬川の流れを見ていると時間の経つのも忘れる為、神戸(ごうど)駅に「いつのまにか」という感じで着いた。
ここで列車の交換が行われるため、しばらく停車する。
このスキに、車両レストラン「清流」
の中にある、この駅のスタンプを頂きに行く。
トロッコ車両には、たくさんの家族連れと一緒に、コスプレイヤーの集団が乗っていた。
彼らは何の目的で何処へ向かっているのだろうか?
神戸駅を出発すると、車両は沿線で一番長い「草木トンネル」に突入する。
トロッコ車両はトンネルの中で、天井に取り付けられたたくさんのイルミネーションが点灯され、車内は大いに盛り上がっていた。
なかなかの演出だが、その演出を私はうまく写真に収めることができなかった。
普通の列車ならば、桐生から1時間半で通洞に着くが、このトロッコ列車は約2時間かかった。
それだけ余計に車両に乗れたと思えば、少し得な気分になれる。
通洞駅には駅員がいて、小さいながらも味わい深い木造駅舎を構える。
駅の近くの足尾銅山観光にも訪れたいが、すぐに上り列車が来てしまう。
スタンプを頂き、10分余りの駅の滞在を経て、桐生行き列車に乗り込む。
この列車で向かうは水沼駅
。
今回も、この駅で温泉と生ビールを頂くことにする。