第4旅第12章:吾妻線再び | もこ太郎の平成阿房列車

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2011年9月24日 早朝の矢倉駅
残す駅スタンプもあと一つ。


昨日は水沼駅で温泉と生ビールを頂いた後、しばらくは吾妻線(あがつません)の沿線を列車でうろついていた。
そして、「矢倉(やぐら)」という小さな駅で、生涯2度目の駅寝をさせて頂いた。

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この矢倉駅を選んだ理由は、この駅はかなり山奥にあり、無人駅で利用人数が非常に少なそうなこと、そしてトイレが綺麗だった事である。
ただし待合室に扉は無く、夜中に巨大な蛾に襲われたりもしたが…


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一夜明けて、上り列車の近づく音で目が覚めた。



しまった!



どうやら携帯アラームの時間を間違えてセットしていたらしい。
すでにその始発列車を、ホームで待っていた人もいた。


始発の30分前には必ず起床しなければならないという、駅寝の鉄則を破ってしまったばかりでなく、多大な迷惑をかけてしまった。
申し訳ないと思う気持ちを、待合室やホームを綺麗に掃除することで償わせて頂いた。




吾妻線の駅スタンプは既に全部集め終わっているのだが、先週この吾妻線を訪れたとき は夜中で、殆ど沿線の様子を伺うことができなかった。
なので今回は吾妻線をじっくり堪能したい。
これが吾妻線の駅で駅寝をした最大の理由である。
非常にダイヤグラムの薄い路線である吾妻線を堪能するには、これしか方法が無かった。


吾妻線は、起点の渋川駅から終点まで、全長55.6Kmの地方交通線。
全線に渡り電化はされているが単線である為、自ずとダイヤグラムも薄くなっている。
とはいえ、沿線には草津温泉をはじめ、川原湯温泉、万座温泉、鹿沢温泉等、著名な温泉名所が多数あり、温泉を訪問するために吾妻線を利用する人も少なくない。
実際、上野から吾妻線直通の特急まで出ている程だ。

線路は利根川の支流、吾妻側にそって敷かれており、車窓から折り重なる山々の姿と、雄大な渓谷を臨むこともしばしばである。
所々山深い箇所を走り、そんな中に駅も有る為、吾妻線は秘境駅が幾つか存在すると人もいることだろう。
この矢倉駅は、そんな駅の代表格ではなかろうか?



早朝からトラブルはあったものの、清々しい朝。今日は快晴のようだ。
まるで今回の旅のフィナーレを既に祝福しているような天気だ、というふうに言っておこう。


せっかくなので、下りの列車が来るまでこの矢倉という駅を観察させて頂く。
1面1線の単式ホーム、小さな待合室とトイレという、最低限の設備しか兼ね揃えていない駅。
駅の入り口も非常に小さく、定期的にこの駅を使用する人もかなり少なそうだ。


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しかし山奥の駅ということもあって、ホームから線路の反対側を臨めば美しい山々の景色が広がる。


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ホームから下りの線路を臨むと、勾配を上りながら真っ直ぐ伸びる線路が見える。


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秘境駅の雰囲気が十分に漂う駅だ。



7時17分
矢倉から107系の下り列車に乗りこむ。


後から知った話だが、沿線の途中には、日本一短いという「樽沢(たるさわ)トンネル」があり、全長は僅か7.2mとの事。
もちろんこの列車に乗っている途中、私はそのトンネルには全く気が付かなかった。
7.2mという長さは、車両1両の半分にも満たない長さで、これでは予備知識が無いと、トンネルと気付かずに通過してしまうことであろう。



矢倉から40分かけて、小さな駅に到着した。

「大前(おおまえ)」駅


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この駅も、矢倉と同じく1面1線の単式ホーム、小さな待合室とトイレがあるだけの駅。
高崎方面と反対側の線路を見ると、遥か向こうに車止めが見える。


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ここは終着駅だが無人駅であり、ここまで来る列車は1日5本しかない。


「派手」「華麗」という言葉には全く無縁の終着駅ではあるが、「哀愁」や「侘びしさ」という、私が個人的に求める終着駅のイメージにかなりマッチしている。
駅やその周辺の雰囲気も長閑で非常に良い。

駅から少し足をのばすと、吾妻川の清流を臨むことができ、ここも秘境駅の様相を呈している。


もこ太郎の平成阿房列車

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とはいっても、駅の目の前には温泉宿泊施設があり、そして嬬恋村役場の最寄駅となっている為、駅の利用者は少なからずいる事であろう。


大前に着いた列車は、20分足らずで高崎方面に折り返してしまう。
短い滞在時間ではあるが、この列車を逃すと次の列車まで5時間半待つことになる!



8時15分
私は急いで折り返し列車に乗り込む。


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大前から3駅移動したところで下車してみる。

「羽根尾(はねお)」駅


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1面2線島式ホームで、そのホーム及び線路は高架の上に存在するらしい。


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今は使用されていない雰囲気の留置線が多数存在している。
ホームも非常に広く、昔は貨物でも取り扱われていたのだろうか?


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この駅自体はそれ以外に特筆すべき点は無いのだが、駅前に面白いポイントが存在する。


「羽根尾交差点」


この丁字路交差点は、国道144号、145号、146号の3国道の起点になっているという、非常に珍しい交差点である。


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続いて羽根尾駅から大前に向けて、一駅戻るようなかたちで移動。


「袋倉(ふくろぐら)」駅


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1面1線の単式ホームと待合室を構えるたいへん小さな駅。


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秘境度を期待して訪問してみたが、駅前には民家が点在し、それほど秘境感のない駅であった。
特筆すべき点と言えば、待合室で年老いた男女が列車を待っていたが、二人はどうも夫婦ではないらしい。
そして、男性が女性を必死に口説いており、女性もまんざらでもないような態度であった件。
期待を外された上に、この老人たちのせいで、よりいっそう何とも言えない寂しさ、虚しさが胸に込み上げてくる。



気を取り直し、再び高崎方面行きの上り列車に乗り、1時間半掛けてある駅に訪れてみた。


「祖母島(うばしま)」駅


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1面1線単式ホームに降り、列車が過ぎ去った瞬間、果てなく広がる田園の絶景が現れた。
この絶景を見て、私は思わず息を飲んでしまった。


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先月訪れた、姨捨駅の絶景 に勝るとも劣らない。
快晴の天候も手伝って、この時はそう思えた。
家からこんな近い場所に、こんな素晴らしい駅があったなんて…


袋倉で底辺まで落ちていたテンションも、ここで一気に最高潮まで達した。

言うまでも無く、今回の旅で1番感動した駅だ。
この旅の中で、ここに訪れることができたことを幸運に思う。


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1時間足らずの滞在時間はあっという間に過ぎてしまった。
これで吾妻線とは別れを告げ、今日のもう一つの目的地に向かうことにする。


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