列車は住宅街や工場の脇をすり抜け、ほぼ真っ直ぐに進む。
銚子を出たと思ったらすぐに次の駅に着く、その駅を出たらまた次の駅にあっという間に着く、という感じで2駅をポン、ポンっと過ぎた後は、うって変わって木々の中をすり抜けるようにして列車は走る。
そして、木々の中に列車は停車。三たびあっという間に次の駅に着いた。
まずは、この駅で降りてみる。
「本銚子(もとちょうし)駅」
1面1線の単式ホームと、木造の小さな待合室を持つ、非常に静かで小さな無人駅。
駅の周りは林に囲まれ、一見秘境的な雰囲気も感じ取れる。
自動販売機さえ無ければ、の話だが…
実はこの駅には、鉄道ファンに周知されている、ちょっとした名物が存在する。
駅を出て少し歩いたところに、線路を跨ぐ、自動車1台通れるか通れないか、というほどの小さな橋が架かっている。
そこから見晴らしの良い角度で、車両の写真を撮る事ができるのである。
この駅で下車した途端、全速力でこの橋まで走ってくれば、自分が乗ってきた車両を上から見下ろした角度で撮る事もできる。
私は撮り鉄ではないので、そこまでして労力は使うつもりはないが、名物に便乗して写真を撮ってみる。
これなら写真の技術がなくても、ある程度の写真が撮れる。
しかし私がカメラに収めた写真は、今乗ってきた列車と、逆の方向へ進む列車。
もちろんこれではこの列車に乗ることなど不可能。
今乗ってきた列車と、逆の方向へ進む列車に乗って時間短縮を図るといった計画は、早くもここで崩れてしまった…
しかし、これはご愛嬌と言うことにしておこう…
この駅に30分ほど滞在して、先ほど写真に収めた、銚子からやってきた2両編成の白い車両に乗り込み、次の駅を目指す。