アルゲリッチ&フレンズ - イヴリー・ギトリスへのオマージュ | クラシックコンサート鑑賞日記

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コンサートの余韻を楽しむブログ

6月3日(金)19時 すみだトリフォニーホール

フランク: ヴァイオリン・ソナタ イ長調 (辻 彩奈&アルゲリッチ)
パガニーニ: カプリース op.1から 第24番 (辻 彩奈・ソロ)
ルトスワフスキ: パガニーニの主題による変奏曲 (アルゲリッチ&酒井 茜)
クライスラー: 愛の悲しみ (辻 彩奈&アルゲリッチ)
クライスラー(ラフマニノフ編): 愛の悲しみ (酒井 茜・ソロ)

【アンコール】
ショパン:変奏曲「パガニーニの想い出」(アルゲリッチソロ)
プロコフィエフ:「3つのオレンジへの恋」から 行進曲(ヴァイオリン:辻彩奈 ピアノ:酒井茜)
モーツァルト:4手のためのピアノ・ソナタ ニ長調 K.381から 第3楽章(ピアノ:酒井茜、マルタ・アルゲリッチ)

 

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
酒井 茜(ピアノ)
辻 彩奈(ヴァイオリン)

 

 

 

 

とても面白い演奏会だった!
ヴァイオリニスト・ギトリスへのオマージュという副題がついていたが、ギトリスはよく知らない。
彼が好んだと思われる曲を2バージョン、要するにオリジナルとカバーで奏でたもの。これが面白かった。

前半は、フランク1曲。ここでのアルゲリッチの音色たるや……、なんと繊細で柔らかな音…。極上の音色だった。これがアルゲリッチか、、とまたしてもやられた感。
彩奈ちゃんの演奏も素晴らしい。緊張しただろうな。

それにしてもアルゲリッチのコンニャクのような柔らかい手から生み出されるなんとも言えぬ繊細な音は得も言われぬ美しさ。何も考えず、ただ聞いた。

休憩を挟んで謎のトークコーナーが始まったが、これはぶっちゃけ不要だった。マイクが響いてあまり聞き取れなかったし、トークは通訳を挟むとタイムラグがあるのであまり盛り上がらない。日本語のトークなら面白いんだけど(井上さんは一人で喋っても面白い)。

ここから先がとても興味深い演奏で、同じ曲の違うバージョンを弾いていく。原曲とそのカバーだ。
ピアノ2台だったりピアノとヴァイオリンだったり、ソロだったりでステージ転換をいちいち黒幕がやっていて甚だ非効率この上なかったが、録音している関係もあったのかもしれない。最後はスタッフが猛ダッシュで集音マイクを持ってきて会場から笑いが漏れた。(どんだけステージ転換やってんの、という笑いはもっと前から起こっていた)

このオリジナルとカバーの比較は大変に楽しかった。
特にラフマニノフバージョンの愛の悲しみは圧巻! ジャズ風味の軽快さがありながらもラフマニノフならではのダイナミックさ、そして深く心抉られるようなドラマチックな美しさがたまらない。演奏は酒井さんソロ。

 

また、シマノフスキの変態的な超絶技巧も楽しい。

アルゲリッチは、後半の途中、パガニーニ繋がりでソロアンコールを1曲。ショパンの変奏曲「パガニーニの想い出」だが、過去にレーピンが2度オリジナル(パガニーニ:ヴェニスの謝肉祭)を弾いたのを聞いている。とてもかわいらしい曲で100%ウケる。


最後に3つのオレンジとモツの連弾を披露してお開きとなった。

いやぁ〜、面白い企画(笑)
ピアノの大巨匠を以ってしてこのような企画をやるのはさすがだなと思った。

 

私は実はカバー曲が大好きだ。ガヴリリュクがよく弾いていたメンデルスゾーンのホロヴィッツカバーの結婚行進曲やカルメン、サイがジャズアレンジしたトルコ行進曲など、久々に思い出し、いま自宅で聞いている。

 

いやぁ、今日は楽しかった!