2021年2月16日(火)紀尾井ホール
スティーヴ・ライヒ:ヴァイオリン・フェイズ <1967> ※有馬純寿(エレクトロニクス)
川上 統:組曲「甲殻」より ウミサソリ、ミジンコ、ガザミ、 ※新作「オトヒメエビ」(世界初演)
マーク=アンドレ・ダルバヴィ:ピアノ三重奏曲 <2008>
レオ・オーンスタイン:ピアノ五重奏曲 Op.92 <1927>
諏訪内晶子、米元響子(以上ヴァイオリン)
鈴木康浩(ヴィオラ)、辻本玲(チェロ)、阪田知樹(ピアノ)
舩木篤也(トークコーナー)
いや〜楽しかった。
現代音楽には非常に興味がある。これをまさか諏訪内晶子がやるとは!
現代音楽にありがちな、金切音のわけのわからん曲はなく、どれもかっこよく聞きごたえのある曲だった。
今回知っている曲はライヒのヴァイオリン・フェイスのみ。
オーンスタインのピアノ五重奏も何度かYouTubeで予習はした。
あとはネットにもあがっていない曲ばかりだったのでぶっつけ本番。
ライヒのピアノ・フェイズは2年前くらいにマハン・エスファハニ編曲のチェンバロバージョンで聞いた。
この時も彼が事前に録音していたチェンバロに合わせて耳にイヤホンをしつつ音を重ねていた。
本日の演奏も同様で、諏訪内晶子の事前録音に合わせて音のズレを楽しむ。
後の解説を聞くと、耳のイヤホンはメトロノームらしい。
ステージにPCがあったが、これで音の回数を把握しているとのこと。
とんでもない集中力と思ったし舩木さんも同様のことをおっしゃっていたが、これだけ確認することができるのであればそうでもない様子。しかし、追い越せ追い越させ同じリズムをちょっとずらせのこの曲は人間の本能的に音に合わせてしまいそうになり難しいらしい。
単純な曲ほど難しいのだなと思った。
ライヒの曲をもっと聞きたい。マリンバも聞いてみたい。
眠くなるかなぁと思ったが意外にも完全に覚醒していた。
川上統さんの1曲目ウミサソリはジャズっぽくてかっこよかった。
どれも変な題名なのでいかにも現代曲の強烈なものかと思いきや、聞きやすくお洒落な感じなものだった。
ちなみに下の絵は、川上さんが描かれたらしい。絵がうまいですね。
マーク=アンドレ・ダルバヴィの曲はあまり記憶にない。
諏訪内さんが抜けて、米元さん、辻本さん、阪田さんのトリオで演奏。ピアノがよかった印象がある。
マーク=アンドレ・ダルバヴィとやら、こちらの方も「飛行機の上で自殺」など変な題名の曲を書いている。
ラストのオーンスタインは圧巻。
煽り系でかっこいい。こちらの曲もやはり阪田さんのピアノがいい。
こんな激しい曲でも諏訪内さん、米元さんのヴァイオリン、読響鈴木さんのヴィオラ、辻本さんのチェロの音色は極上の美しさ。この5人の音だけで十分にオーケストラの迫力だ。
今回のプログラム、一流の演奏家に知られざる現代曲をやらせるというかなりの挑戦企画だと思う。
代打で演奏された辻本さんらも素晴らしかった。
私は近現代の激しめの曲が大好きなので大変満足だった。CDも欲しいと思った。
またこういう企画をやってほしい。