思い出・・・ | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

小説を読んで、似たような情景が書かれていたからなのか
小学校の夏休みに毎年遊びに行っていた父親の実家を思い出した。

家の側面にそって作られた縁側の正面は和風の庭に面している。
庭の真中には大きな池があった。
池には鯉がたくさんいて、池の縁で足踏みをすると鯉が集まってきた。
一番大きな黒い鯉は「大将」と呼ばれていた。
mokkoのお気に入りだった。

鯉たちは、池にばら撒かれた餌を食べに寄って来るけど
水の中に手を入れると逃げてしまう。
だけど大将は手に乗せた餌を食べてくれる。
口の動かし方にも余裕があって、他の鯉たちのようにがっつかないし
頭を触っても、口をパクパクさせながら触らせてくれる。
mokkoが立ち上がると、ユックリと池の奥の方に向かい見えなくなる。
優雅というか、堂々としてる様がカッコよかった。

庭は裏にもあって、裏庭の方が広かった。
塀の内側を高い木が囲んでいたので、夏は日差しを遮ってくれて涼しい。
いつも陰になっているせいか、ちょっと湿り気のある土の匂いがしてた。
庭の奥の方にはジイちゃん手作りの作業小屋があった。
湿った匂いのする庭なのに、何故かそこだけは乾いた匂いがしていた。
広くはないけれど、小屋の中はきれいに整理されていて
ノコギリとかペンチとか色んな形のネジだとかが所狭しと並んでいた。
ここは弟のお気に入りの場所だった。
ジイちゃんと二人で得体の知れないものをよく作っていた。

作業小屋にはハシゴがかけてあって、屋根の上に登れるようになっている。
mokkoのお気に入りの場所は、この屋根の上である。
屋根を覆い隠すように無花果の木が枝を伸ばしていたから
下にいるよりも風通しがよく、ほどよい木陰が出来る。

小さいけれど無花果の実がたくさん実っていて
子供の口には微妙な甘さだったけれど
果実を縦に引き裂いた時の果肉が、赤紫色の毛羽立った繊維みたいで
その食感が好きだったのかもしれない。

中学に入ってすぐ、ジイちゃんの家は火事で全焼した。
ジイちゃんもバアちゃんもババさんも無事だったし
隣近所に延焼することもなかったからよかったけど
立て直した家は、大きくなったけど庭が無くなっていた。
鯉の大将は父親の兄貴宅の池に引越したそうだ。

大将は、引っ越してからも誰かの手から餌を貰って
食べていたんだろうか?