蜜蜂と遠雷(上)(下)/恩田 陸 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日:2019/4/10(上)
文 庫:454ページ
ISBN-13:978-4344428522

発売日:2019/4/10(下)
文 庫:508ページ
ISBN-13:978-4344428539

近年その覇者が音楽界の寵児となる
芳ヶ江国際ピアノコンクール。
自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。
かつて天才少女としてデビューしながら突然の
母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。
完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。 
天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。 
その火蓋が切られた。

2次予選での課題曲「春と修羅」。
この現代 曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの
分かれ道だった。
マサルの演奏は素晴らしかった。が、明石は自分の
「春と修羅」に自信を持ち、勝算を感じていた……。
12人が残る 3次(リサイタル形式)、
6人しか選ばれない本選(オーケストラとの協奏曲)に
勝ち進むのは誰か。
そして優勝を手にするのは――。
直木三十五賞と本屋大賞を受賞。
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恩田陸 キター(((p(>◇<)q)))

語彙がどっかに行ってしまうくらいに感動して
これが恩田陸よ! どうよ!<( ̄- ̄)> 
と、自分が描いてるわけじゃないのに自慢したくなる。
呼び捨てスンマセン<(_ _)>

読書レビューなるものをアップするようになった時から
好きで読んでいた作家の一人が恩田陸さん
六番目の小夜子から始まって、シリーズものから
シリーズ外から、色々読みました。

好みもあるけど、盛り上げ方が巧い
状況と感情の起伏の描き方が巧みである
色んな世界に連れて行ってもらいましたよ。

だけど時々、尻すぼみになるから警戒もする(^◇^;)
しかし今回は本屋大賞受賞である。
夜のピクニック以来である。あれも面白かった。
なので、期待しないわけがない。

躊躇したのは、ページ数・・・
やはり厚いとね、躊躇するんですよ。
通勤で持ち歩くには重いんですよ。
しかし、読み始めたら、あっという間でした。
滅多にしない家飲みならぬ、家読みをしました(^◇^;)

音楽の事を描いた作品は何作か読んだ。
その都度思うのは、活字だけで音をどう表現するか。
コンダクター目線。調律師目線。機械音楽の聴衆目線。
作家さんによって、描き方は色々なんだけど
それぞれに楽しむことが出来ました。

そして、恩田さんは・・・
日本でレベルの高い「芳ヶ江国際ピアノコンクール」に
参加するコンテスタントの話

コンテスタント=コンクールに挑戦する人

世界的なコンクールで偶然にも天才同士が再会し、
そして新たに出会うことになる。

それぞれの天才と審査員の度肝を抜いたのは
楽器も持たず、コンテスト初参加で無名の16歳。

しかし彼は、審査員達が敬愛し、弟子を取らない亡き天才
ユウジ・フォン・ホフマンの推薦状を持っていた。
ホフマンが解き放った天才は、ギフトか災厄か・・・

彼の演奏は、審査員を驚愕させ怒らせ混乱させ、
そして、コンテスタントたちを魅了した。

取材するカメラマンの目線、舞台に出る前の
調律師とのやり取り、ステージマネージャーの気配り、
ピアノを「鳴らせる」テクニック、演奏する曲目の
解釈とイメージ。
溢れだす感情と情景とテクニックと調和

発するイメージと重なる受け取る側のイメージ
審査員同士のイメージ、天才たちの会話から
膨らむイメージ
一般的なイメージを織り交ぜながら、予選の
勝敗を絡めてコンクールは進む。

こんな描き方もあるのかと鳥肌が立ちました。
曲を知らないのに、聴いているような錯覚に陥る
ドビュッシーの「喜びの島」は、何故か「のだめ」の
アニメのシーンが浮かびましたけど(^◇^;)

溢れだす芸術!久しぶりの快感。

オーケストラとの音合わせのシーンでは
バレエを観に行く時の事を思い出しました。
音楽は生演奏の方がいいし、会場は、
オーケストラピットがある方がいい。
オケピがある会場は、音の反響まで考えて
反響版の設置をしているから、美しいのですよ。

まぁ~時々、コンダクターが暴走して
ヲィヲィ(o´゚д゚`)っ)) ってこともあって、
ムカついたことを思い出しました。


天才は、おのれと同等と認めた存在にしか影響されない。
天才どうしでなければ分かり合えないものがあるのだ。


どんなに汚くおぞましい部分が人間にあるとしても、
そのすべてをひっくるめた人間というどろどろした沼から
いや、その混沌とした沼だからこそ、音楽という
美しい蓮の花が咲く


楽しかった。美しかった。ハラハラした。
感動した。泣けた。鳥肌立った。
これが恩田陸よ!!

スピンオフ作品:祝祭と予感が出てましたぁ

買わなくっちゃ。(;^_^A