怖い絵 泣く女篇/中野 京子 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日:2011/7/23
文 庫:253ページ
ISBN-13:978-4043940028

散る直前の匂いたつ美しさ、
「レディ・ジェーン・グレイの処刑」―
彼女を死に追いやった陰謀とは?
フェルメールの知られざる宗教作品、「エマオの晩餐」―
世界の美術市場を震撼させた事件とは?
近親結婚くり返しの果て、「カルロス二世」―
スペイン・ハプスブルク家断絶の過程は?
憎悪、残酷、嫉妬、絶望、狂気、妄想…。
名画に秘められた人間心理の深淵を鋭く読み解く22の物語。
書き下ろしを加えてついに文庫化。
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シリーズ2作目

表紙絵が衝撃的なのですが、あらすじにもあるように
レディ・ジェーン・グレイの処刑である。


夏目漱石の倫敦塔にも反映されていると・・・
そういえば、パロッた作品の中にも彼女を端から
見ているようなシーンがあったのを覚えている。
  ↓クリック レビュー

吾輩はシャーロック・ホームズである

 

そのシーンが気になったので、夏目漱石の倫敦塔を、
青空文庫(ネット)で読みました。

 

 

この絵を見て、背景を読んで、今更ながらモヤっていた
小説のシーンがハッキリしてきました。
なるほど!こういう納得の仕方もあるんだなぁ~
何が怖いって、彼女を含む時代背景も恐ろしいけれど
この表紙絵の右横には、隠れているけど、斧を持った男がいる。
ギロチンが出来る前だからね・・・斧で斬首すると・・・

日本の切腹の時の介錯人を連想してしまった。
彼女は切腹しないけど、介錯人の腕が悪ければ
斬首される人は、長く苦しむ・・・恐ろしいでしょ!
新選組の山南さんと総司を思い出しましたよ(T□T)

騙し絵のようなエッシャーの「相対性」
一度は見たことがあると思うのですが
階段の表と裏を人が行き来している絵では
抜け出せない世界に見えて怖かったんですが
絵の見方を説明してくれてます。
これは目からウロコでした(^◇^;)

そして・・・一流の人間は、超一流の人間に潰される

二流三流の人間は己の実力を知らず、超一流との差を認識でず

思い込みや楽観で潰されるには至らない・・・
けれど一流ともなれば、己の実力も限界もわかり
圧倒的天才を前にすると打ちのめされる
レオナルド・ダ・ヴィンチの才能に驚いた師は、絵筆を折った!

これって、色んな世界で言われてる事ですよね。
二流三流には見えないけれど、一流には見える世界。
逆に己を知るのが一流ってことでもあるんですねぇ。

入浴中の姉妹の絵では、背景に公衆浴場での梅毒や
ペストの流行があって、医者の余計な一言から
風呂に入らなくり、香水等で誤魔化していた。
香水のそもそもの使い方って、そういうことかぁ~

昔から興味津々だったエリザベート・バートリの事や
孔雀の尾羽の目玉のような模様の事
「死の島」を見て、ラフマニノフが交響曲を
作っていたのも知らなかったぁ~
絵画の及ぼす影響ってすごいんですねぇ~

今回も色んな怖さを体験できました。
蘊蓄やら小ネタも満載で、怖い絵展を観てない事が
今更ながら悔やまれます (;´_`)トホホ


怖い絵繋がりというか、別の意味で恐怖体験をした。
昨日、社員証用の写真を撮りに、証明写真BOXを使った。
今の機械が進化しているのも驚きだったけど
あの狭いBOXに入る事で、太った事を自覚してしまった。

更に、目の前に映し出される顔!
マスク生活に慣れて、目を背けて来た現実が
ドアップで突き付けられる恐怖。
これも、ある意味「怖い絵」だなぁ~と凹んだ瞬間でした。