発売日:1995/2/1
単行本:249ページ
ISBN-13:978-4882930952
ウラジオストックの乞食紳士が語る、ロマノフ王家の
宝石にまつわる美しくも怪奇な物語とは。
久作美学の結晶ともいうべき表題作「死後の恋」のほか、
セントルイスで開かれた万国博覧会に、烏龍茶の店を建てるために
渡米した江戸っ子の大工が遭遇する恐怖の事件「人間腸詰」、
江戸川乱歩が絶賛した因縁譚の傑作「押絵の奇蹟」など、
異色のミステリ・全10篇。
戦前の探偵小説文壇の中で、ひときわ異彩をはなつ
巨星・夢野久作の、代表的な傑作を厳選した怪奇探偵小説集。
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二度目ましての作家さん
初めて読んだのは、日本三大奇書の1冊と言われる
↓クリックレビュー
ドグラ・マグラ 上・下
そして青子さんのレビューを読んで即購入
同じ「乙女の本棚」シリーズ」が欲しかったんですが
手に入らず、短編集の方を購入。
「死後の恋」 表題作
ロシア革命直後のウラジオストックで、怪しい男が
ロマノフ王家の宝石にまつわる奇妙な体験を語る
「悪魔祈祷書」
古本屋の主人が学生から買い取った聖書は、なんと人類に
あらゆる悪事をすすめる幻の書物「悪魔祈祷書」だった。
世界に一冊しかないと言われる呪われた奇書を
万引きした大学の先生は・・・
「人の顔」
様々な場所に人の顔を見てしまう不思議な少女・チエ子。
半年ぶりに帰って来た義父と活動を観に行った帰りに
空に義母の顔を見たチエ子が暴いたものては・・・
「瓶詰地獄」
海難事故で南国の無人島に漂着した兄妹が
瓶に手紙を入れて父母宛に送るのだが・・・
「キチガイ地獄」
北海道の炭坑王と呼ばれていた谷山家の養子・秀麿を自称する
精神病患者は、院長に退院の申し入れをするのだが……。
「ドグラマグラ」の前哨譚のように感じました。
「金槌(かなづち)」
叔父を悪魔と呼び、悪魔は鉄鎚で頭カチわれ!と言っていた
父が亡くなり、叔父の店に引き取られるが・・・
本当の悪魔は叔父か、叔父を欺く従兄弟の伊奈子か?
「冗談に殺す」
完全犯罪を空想の一種と考えていた私が、女優と出会い、
その残虐性を知り、完全犯罪を計画する
「オンチ」
会計部の西村が事務員ふうの男に黒い棒で殴られて亡くなった。
三人の工員が遠目に一部始終を見ていたものの
助けに行かなかった。
事件は迷宮入りしたが、そこに隠された陰謀とは・・・
「人間腸詰(にんげんそうせえじ)」
セントルイス万博で、完成した台湾館の給仕に誘われて、
気付けばギャングに監禁されていた男の見たものは。
「押絵の奇跡」
死を意識したトシ子が押絵に秘められた自身の出生の秘密を
母親にうりふたつの歌舞伎役者に長い手紙にしたためて送る。
どれもが語り口調。
自分が話しているか、話を聞いているか
話役か、聞き役か・・・
だから長いものは長い(^◇^;)
ドグラ・マグラの時も、語り口調の時は、昔の語り口調だから
非情に読みにくかったんですが、あれは割と良かった。
だから期待していたんですが、人間の心理の負の部分を
思いっきりさらけ出しているので、読んでいて苦しい。
「キチガイ地獄」は、まさにドグラ・マグラの前哨譚か?と
想像してみたり(*´艸`*)
ただ、表題作の「死後の恋」は、自分の止められない欲望を
恋だと認めて欲しかったのか?
これは、ちょっといただけない(-。-;)