発売日 : 2012/03/09
文 庫 : 259ページ
美しい容姿からは想像もつかないほど
ガサツな叔母の意外な秘密についての表題作、
雨の日だけ他人の心の声が聞こえる少女を描く
「雨つぶ通信」、
西日暮里の奇妙な中華料理屋を巡る奇譚
「カンカン軒怪異譚」など、
『花まんま』『かたみ歌』の著者が、
昭和の東京下町を舞台に紡ぐ
「赦し」と「再生」の七つの物語。
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朱川作品は、3作(シリーズ含む)読んでいるのですが
1作だけ、合わなかったので、チョイスするのに
昭和ノスタルジーを感じる作品限定にしました(^◇^;)
「あした咲く蕾」表題作
主人公の僕が出会った天使は、関西弁で口が悪くて
神経を逆撫でするような事を言うのが好きだった。
叔母が大好きだったけど、叔母には秘密があって・・・
命を削ると知っていても、体が動いちゃったんだよね
これは、やはり泣けました。
「雨つぶ通信」
小学生の時に両親が離婚した。しょうもない父親だけど
結構好きだった。そこに新しい父親候補が乱入してきた。
頭ではわかっていても、受入れられない。
そんな雨の日、意識を集中していたら声が聞こえて・・・
そう言えば、超能力ブームがあった。
みんなスプーン曲げてた(^◇^;)mokkoは曲がらなかったけど。
弘美が友達の緊急事態を察した訴えに、母親でさえ
信じようとしなかったのに、最初に動いた行動力。
やはり信頼できますとも!!
「カンカン軒怪異譚」
細い路地の途中にある本格ではない古びた中華料理屋
初めて中に入ってみると、三国志に登場する関羽のような
おばちゃんが巨大な中華鍋を振るっていた。
その中華鍋には逸話があって・・・
おばちゃんの愛情と勢いと願いが、隠し味というより、
前面に押し出されたチャーハン!
引き寄せられて店に来た人たちにパワーを与えるのね
チャーハンが食べたくなったのは言うまでもないです(^◇^;)
「空のひと」
小学5年生の時に隣のクラスに越してきた彼。
記憶にも残っていなかった彼と15年後に結婚して
娘が生まれる前に空に逝ってしまった彼の起こした奇跡。
これも感動するお話。
娘の夢だと思って確認した行動や話から、
彼に間違いないと確信できた。泣きますってば。
「虹とのら犬」
小学生の頃、悪辣なイジメを受けていたのに、
いつもニコニコしていた彼女。
父親が出て行き、母親から辛辣な暴言を受けていた私。
7日続けて見た不思議な夢の後に・・・
30年前を回想しながら、彼女に救われた事を思い出す。
夢を覚えておく方法・・・これ、mokkoも実践しました。
続けていると、色んなキーワードがあったりします(^◇^;)
そして強く思うことで、意識が通じることも・・・
「湯呑の月」
明恵おばちゃまを思い出す時は、美しい月と
お月さまの水の甘さを一緒に思い出す。
けれど・・・
記憶と言うのは何かとセットで思い出したりする。
いくら優しくて大好きな叔母でも、これは嫌だ。
美しい月すらも、歪んでみえる(-。-;)
「花、散ったあと」
フカシマンとあだ名される幼馴染から1年ぶりの連絡。
痩せ細った貴明に癌だと告げられ、自分が知っていることを
家族には内緒にしてくれと頼まれたのだが・・・
男同士で幼馴染で、思い出もたくさんある中で
その温かい思いやりに泣けました。
最後まで「やってくれた」幼馴染で親友が本当に眩しい。
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所々に顔を覗かせる昭和が、いい味を出してます。
少し不自由で、我慢を強いられる感じが
アクセントになっていて、感情を揺さぶります。
チョイスは間違ってなかったです。
次の昭和ノスタルジー系です(^◇^;)