狐と韃 知らぬ火文庫/朱川 湊人 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日 : 2017/8/17
単行本(ソフトカバー) : 320ページ

人と狐の間に生まれた者の末裔と噂され、並外れて
大きな体と美しい顔をもつ妖女、美濃狐。
ある日市に現れ、凄まじい剛力で暴虐非道に振舞う姿に、
人々は恐れおののき、市は寂れてゆくのだが―。(表題作)ほか、
日本最古の説話集『日本霊異記』を下敷きに繰り広げられる、
不可思議で妖艶な物語の数々。
古典を大胆に紡ぎ直した「知らぬ火文庫」シリーズ第一弾。
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平安初期に書かれた日本最古の仏教説話集『日本霊異記』を元に、
妖しく不思議な物語を現代風にした8つの連作短篇集。
日本霊異記』を知らないので何とも言えないのだが・・・
朱川作品は3冊しか読んでいないのだけど、なんか雰囲気が
昭和ノスタルジーものではなかったので微妙です。

「夜半の客」「塵芥にあらず」「舎利菩薩」が好きです。

「サカヅキという女」 
  豪族の跡継ぎ・真桑が異形な美しさを持つ女と出会い
  納屋に匿い世話を焼くうち、愛情を感じるようになる。
  ある夜、強引に女を抱いた真桑だったが、翌日から女は
  まったく笑わなくなり・・・
  身勝手な振る舞いに吐き気がしたけれど、最後の最後が
  何かを連想させる感じで、良かったのかも・・・

「髑髏語り」
  銀細工師の広足が、思わず弟を殺してしまい
  その罪を知らないフリで押し通したものの・・・
  泉鏡花のタイトルは忘れたけど短編を思い出しました。
  部分的にだけどね(^◇^;)

「射干玉国(ぬばたまこく)」
  父膳臣広国が妻亡きあとに、大ぼらを吹いて自分を
  正当化しようとしていた事を、娘である玉虫売が
  遊行女婦と結託して、真実を暴露するよう仕向ける

「夜半の客」  
  のちに「日本国現法善悪霊異記」となる書物を
  まとめるために思案していた私度僧:景戒の前に
  4人の死霊が現れた。
  顔を覆っていた白い紙がはらりと落ちて…。
  この話が一番好きかも♪

「狐と鞭」(表題作)
  三野国片県郡に村に現れた美濃狐に悩まされる多須岐 
  助けを求めて尾張郡愛智郡片輪の里へ向かう。
  1話と3話にリンクしてるんだけど、
  これはちょっと嫌だ<(_ _)>
  
「蛇よ、来たれ。」 
  蛇に犯されて狂わされた佐々伎売
  エロ描写ギリだけど、これも嫌だ。<(_ _)>
 
「塵芥にあらず」 
  孤児だった阿久多に出来た友人の八卦見の磐嶋は、
  同じ名の男の身代わりとして三悪鬼に連れ去られ
  死亡したと聞いて、死を逃れた男の元に
  文句を言いに行き・・・
  この話も好きです。

「舎利菩薩」
  妻の初産を待ちわびていた広公。
  しかし、生まれたのは、蹴鞠のような肉の玉だった。
  一度は捨てたものの、様子を見に行くと普通の
  赤子の形になっていた為、連れ帰り大切に育てた。
  その頭脳は優秀で、親の心配をよそに、強い意志と
  明晰な頭脳で人々の支持を得て聖と呼ばれるまでに
  なっていくのだが・・・
  中島みゆきのファイトを思い出しました。 これも好きです。