会社のイベントの買い物で、男性社員と車で町まで行った帰り道、
買い物に時間がかかり、O渓流にさしかかった時には
夜の8時を過ぎていた。
渓流の途中には、観光バスが必ず止まる場所があって、
そこは山姥が住んでいたとか、首切り場だったとの
いわれがある場所だ。
ちょうどその場所を通り過ぎたとき嫌な気配を感じた。
何かがいる。
何かに見られていると言った方が正解か。
その時、視界の隅に白い物が目に入った。
よく見るまでもなく、その映像は頭の中に鮮明に映った。
逃げなきゃ!直感でそう思った。
その気持ちを読まれているかのように車のスピードが落ちてくる。
運悪く、道は急カーブの登り坂に達していた。
運転している先輩に、止まるな!アクセルから
足を離すな!!と叫んだ。
私の表情から大変なことが起こっていると察した先輩は、
アクセルを全開に踏み込んだが、車はノロノロと
今にも止まりそうだ。
追い打ちをかけるように、軽快なテンポだったはずの音楽が
いきなり、超スローになり、いっそう恐怖をあおる。
私の頭の中には、髪を振り乱した女が今にも車に
追いつきそうな勢いで走ってくるのが見えていた。
恐怖が頂点に達したとき、心の中で死にたくないと叫んでいた。
途端に、車のスピードが上がり初め女の気配は消えていた。
あの女性は一体何をしたかったのだろう・・・