学校にはつきものの開かずの間。
その寮にも存在した。
201号室が開かずの間で私の部屋は隣の202号室だった。
噂だと、その部屋の子が上のベッドから誤って落ちた時に
はしごに足を取られて頭から下に落ち、即死だったそうな。
ある夜、運悪く夜中にトイレにたった。
何事もなく洗面所で手を荒い、自分の部屋に戻ろうとした時、
201号室のドアを人が通り抜けるのを見てしまった。
思わず、こっちに来るな!と祈った。
運良く彼女は反対側の階段へ向かってくれた。
今だ!と思い、急ぎ足で自分の部屋にむかい
ドアの前で何気なく振り返った時、彼女は中央の階段を上り
奥の修養室に消えていった。
彼女は白地に青模様のユカタを着ていた。
足もあった。
足が見えたわけではないけど、裾をさばいて歩いていた。
私の高校では女子の家庭科の授業では、
和裁と洋裁と食物のうち2つは1級の検定に
合格しなければならなかった。
そして、和裁の2級の検定が、ゆかただったのだ。
練習用のユカタを授業で作るのだが、授業での作業に
間に合わない人は寮の修養室を借りて遅れを取り戻すのだ。
部活や他の検定もあるので、その時期のスケジュールは
かなりキツイ。
彼女は生前、ユカタを作り終えたのだろうか?