学校からかなり離れた山の方に遠足に行った時のこと。
二列に並んで細い田舎道を歩いていると
道路脇の林の中に何かを祀っているほこらがあった。
何人かの生徒が石を投げているのを見て先生が
「イタズラするんじゃないぞー」と声をかけたが
時、既に遅し!少し前を歩いていた男子生徒が
ほこらにおしっこをかけた。
男子生徒は満足げにズボンを直して
「こんなのヘッチャラ」と笑っていた。
しかし、何故か突然、その生徒が前につんのめって
転んだと思ったら、見えない手に右足を引っ張られ
ほこらの方に引きずられていく。
目の前で起こった、信じられない光景に私たちも
先生も唖然とするしかなかった。
いきなり泣き叫ぶ生徒の悲鳴で我に返り
先生と私たちで、その生徒の腕をつかんで引っ張った。
ものすごい力だった。
その生徒が泣きながら「ごめんなさい、もーしません」と
叫んだ途端に、引っ張られて宙づりになっていた
右足が下に落ち、私たちと先生は反対側に尻餅をついた。
体中の土埃をはらいながら、今のは何だったのか
先生に聞いてみたけど「神様が怒ったんだよ」
としか答えてくれなかった。
後から、あの辺には狸を祀っているほこらがあるという話を
聞いたが、おしっこをかけた生徒に狸が怒って
お仕置きをしたのだろうか・・・