野ばら/長野まゆみ | mokkoの現実逃避ブログ

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2003/3/27読了
ページ:142ページ
発売日:1992/10/1

 

銀色と黒蜜糖―。
白い野ばら咲く庭に住みついた2匹の美しい猫と
同じ名前を持った2人の少年は何者なのか?
目覚める度により深い眠りにおちてゆく少年月彦。
その不思議な夢の中で繰り広げられた真夏の夜の
フェアリー・テール。
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寝台にいたはずなのに目覚めるとそこは夜の学校の講堂で
大勢の生徒達と劇を観ると言う
けれど講堂に集まる生徒達の中に見知った顔はない。
黒蜜糖と銀色という少年は月彦を知っているようだけど
月彦には覚えがない。
そしてまた気が付くと月彦は寝台の上にいた・・・。

月夜の庭でかたかたと音を立てる古いミシン。
白い野ばらが降りしきる庭を走る、黒蜜糖と銀色という名の猫
軋む木製の椅子。螺子やボルトの温室。

夢と現実が交差して、どちらが現実なのか境があやふやで
頭がクラクラして不安定で落ち着かない。
足元がふわふわとして少し怖いのにそれが快感で
幻想的な雰囲気に飲み込まれていく感じがたまらない。

これは初めて長野作品に触れる人が読んだら
混乱するだろうなぁ~
月彦と黒蜜糖と銀色が登場する話では
夏至祭の方が読みやすいと思います。