アリクイのいんぼう 家守とミルクセーキと三文じゃない判 (メディアワークス文庫)
680円
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ページ:292P
発売日:2017/8/25
ようこそ、アリクイさんが営むおいしいハンコ屋さんへ
「人がハンコを作る時には事情があります」
そう語るのは喫茶店にして印章店という
『有久井印房』の店主。
しかしその姿はどう見ても白いアリクイで、なおかつ
少々ふっくら気味。
そんな店長をサポートするのは、ウェイトレスの
宇佐ちゃんと、キザなカピバラのかぴおくん。
「ハンコを作ってください!あれ、なんでシロクマが?」
訪れ驚くお客さんに「ぼくはアリクイです」と
静かに出されるコーヒー。
不思議なお店で静かに始まる、縁とハンコの物語。
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初めましての作家さん。
Mirokuさんに頂いた本です
↑クリックレビュー
アリクイがやっている喫茶店で判子屋さん(印房)の話。
アリクイが何やら陰謀を企んでいるのではないです。
連作短編集ですかね?
ただし、主人公はアリクイさんではありません。
店を訪れるお客さんが主人公。
その主人公は、悩みやらモヤモヤを抱えているわけで
たまたま入ったお店で、まずはアリクイさんに驚いて
アリクイさんとの会話から、判子を作っているのを知り
話をしながらモヤモヤを解消していくって感じ
「迷える旅人とミルフィーユと実印」
営業職を続けていた女性が、自分の人生これでいいのか?と
疑問を持ち始め、天敵の同僚から実印を作れと言われ・・・
「星を見る人とピザトーストとアタリ」
整理整頓が苦手な主人は、いつも探し物をしている。
妻を亡くしてからもそれは変わらず、家を売ることに・・・
「有閑な冒険者とパンケーキと見留」
自分の才能に見切りをつけ、大学の退学届に印鑑が必要で
有久井印房を紹介してもらったものの・・・
「家守とミルクセーキと三文じゃない判」表題作
隣同士で父子家庭と母子家庭の家族がひとつの家族になり
お姉さんに連れられて有久井印房に入った僕は・・・
これはツボでしたぁ~
時々使われるドキッとするような言葉に敏感に反応したり
ありえないことなのに、さも当たり前のように接する人々
「なんでアリクイがしゃべるんですか?」
「わかんない。本に書いてなかった?」
「気持ち悪いとか、変だとか思わないんですか?」
「全然。あたしバカだから、賢い弟ができてうれしいよ」
ごもっともと思ったけれど、こういうホノボノした
非日常ならウェルカムなのですよ!
無抵抗な相手を一方的に罵り、実体のない正義を振りかざし、日頃の鬱憤をスケープゴートで晴らす。
それを指摘すると逆上する。
こういうの、あるよねぇ~。ニュースで見聞きしただけで
間違った加害者を一方的に無責任に罵る。
ネットの情報を鵜呑みにして、一方的に攻撃する。
顔が見えないからって、やりたい放題。┓( ̄∇ ̄;)┏ヤレヤレ
小太りなアリクイさんの判子の蘊蓄を聞きながら、
常連のカピバラさんや、鳩さんや、犬耳のウエイトレスと
賑やかにホノボノと過ごすひと時の脱力加減がよいのです。
梨木さんの家守奇譚を思い出しました。
どれくらいの不思議まで人は
「まぁいいだろう」といって許せるものなのか・・・
楽しい時間を過ごせましたぁ~о(ж>▽<)y ☆